掲載日:2021年2月26日
第24回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(令和3年2月18日、厚生労働省)の報告による、我が国における新型コロナウイルス感染症の状況等についてお知らせいたします(第24回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード 資料1)。
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直近の感染状況等
新規感染者数は、報告日ベースでは、1月11日には、直近一週間では10万人あたり36人に達したが、1月中旬以降減少が続いており、直近の1週間では10万人あたり約7人となっている(発症日ベースでは、1月上旬以降減少傾向が継続)。
- 実効再生産数:
- 全国的には、1月上旬以降1を下回っており、直近で0.76となっている(2月1日時点)。緊急事態措置区域の1都3県、大阪・兵庫・京都、愛知・岐阜、福岡では、1を下回る水準が継続(2月2日時点)。
入院者数、重症者数、死亡者数も減少が継続。一方で、60歳以上の新規感染者数の割合が高まっているため、重症者数の減少は新規感染者数や入院者数の減少と比べ時間を要すると考えられる。感染者数は減少しているものの、保健所や医療機関の対応は長期化しており、業務への影響が懸念される。高齢者施設でのクラスター発生事例も継続。
地域の動向
※新規感染者数の数値は、報告日ベースの直近1週間合計の対人口10万人の値
- ①首都圏
- 東京では、新規感染者数は減少が続き、宣言期間中のピークの1/5を下回っているが、なお約18人となっている。自治体での入院等の調整も改善の兆しが見られるが、医療提供体制は厳しい状況。神奈川、埼玉、千葉でも新規感染者数は減少が続き、それぞれ約9人、約13人、約14人とステージⅢの指標となっている15人を下回っている。一方、いずれの県も医療提供体制は厳しい状況。新規感染者数の減少に伴う医療提供体制の負荷への影響について、引き続き注視する必要。
- ②関西圏
- 大阪では、新規感染者数の減少が続き、約9人と15人を下回っている。一方、医療提供体制は厳しい状況。高齢者施設等でのクラスターが継続的に発生。兵庫、京都でも新規感染者数は減少傾向であり、それぞれ約6人、約5人となっているが、医療提供体制は厳しい状況。大阪含め、新規感染者数の減少に伴う医療提供体制の負荷への影響について、引き続き注視する必要。
- ③中京圏
- 愛知では、新規感染者数の減少が続き、約6人と15人を下回っている。岐阜でも新規感染者数の減少が継続し、約6人まで減少。いずれも、病床使用率は低下傾向であるが、医療提供体制は厳しい状況。新規感染者数の減少に伴う医療提供体制の負荷への影響について、引き続き注視する必要がある。
- ④九州
- 福岡では、新規感染者数の減少が続き、約10人と15人を下回っているが、重症者数は高止まり。医療提供体制は厳しい状況。新規感染者数の減少に伴う医療提供体制の負荷への影響について、引き続き注視する必要。
- ⑤上記以外の地域
- 概ね新規感染者数の減少傾向が続いている。
変異株
英国、南アフリカ等で増加がみられる新規変異株は、世界各地に拡大しつつあり、国内でも、国内での感染によると考えられる、海外渡航歴のない者から変異株が発見される事例が、複数都道府県に感染者がまたがる広域事例も含め生じている。従来株と比較して感染性が高い可能性があり、国内で持続的に感染した場合には、現状より急速に拡大する可能性が高い。英国株については、変異による重篤度への影響も注視が必要。また、海外から移入したとみられるN501Y変異を有さないE484K変異を有する変異株がゲノム解析で検出されている。
感染状況の分析
緊急事態措置区域の10都府県では、実効再生産数が年始から低下傾向となり、緊急事態宣言下では0.9程度以下を維持し、新規感染者数の減少も継続しているが、夜間の人流の再上昇がみられる地域もある。感染減少のスピードが鈍化している可能性もあり、留意が必要。クラスターの発生状況は、飲食店等に着目した今般の緊急事態宣言に伴う取組への協力もあり、飲食店は減少しているが、医療機関・福祉施設、家庭内などを中心として発生し、地域により飲食店でも引き続き発生している。感染者数に占める60才以上の割合が上昇しているため、重症者や死亡者の減少に時間を要する可能性がある。
年末年始にかけて、都市部から周辺地域へという形で感染が拡大した。現在の減少局面において、周辺地域に比べ都市部での感染者減少が遅れている。大都市において、減少が鈍化する懸念もあり、変異株のリスクもある中で、減少傾向を続ける取組が必要。
国内でも変異株の感染が散発的に確認されている。変異株の感染を早期に探知し、封じ込めることが必要。
必要な対策
新規感染者の減少傾向を継続させ、重症者数、死亡者数を減少させることに加え、今後のワクチン接種に向けて医療機関の負荷を減少させ、リバウンドを防止し、変異株探知を的確に行えるようにするためにも、対策の徹底が必要。
緊急事態措置区域の10都府県においても、東京を除き新規感染者数が15人を下回り、病床使用率も概ね低下傾向が見られているが、医療提供体制や公衆衛生体制の負荷への影響について、引き続き注視する必要がある。
緊急事態宣言が解除された地域でも、昨年夏の感染減少の後も引き続き一定の感染が継続し再拡大に繋がったたことを踏まえると、感染源を探知し減少を継続させる取組が必要。このため、感染リスクに応じた積極的検査や積極的疫学調査を再度強化できる体制が求められる。また、モニタリングのための検査等により、感染拡大の核となる場や影響の変化を評価・分析し、新たに対応が必要となる取組も検討すべき。
再拡大防止には、大人数での会食を避けるなど節目での人々の行動が鍵である。年度末に向けては、歓送迎会、謝恩会、卒業旅行、お花見に伴う宴会等はなるべく避けていただくことに協力が得られるよう、効果的なメッセージの発信が必要。
「高齢者を守る」ために、クラスターの発生が継続している福祉施設等における感染拡大を阻止する取組が必要である。さらに、施設従事者も守るための取組も必要である。都道府県が策定した計画に基づく施設等の職員に対する検査の着実な実施や施設への専門家派遣等による感染症対策の支援、施設で感染者が確認された場合の迅速な支援が求められる。
また、ワクチンの接種が開始されたが、接種を踏まえた感染状況への影響について注視していくことが必要。
変異株
変異株国内流入の監視のため、リスク評価に基づく検疫体制の強化の継続が必要である。また、国内の変異株スクリーニング検査体制の早急な強化(民間検査を含めることも検討)により、変異株感染者の早期検知、積極的疫学調査による感染源の特定や速やかな拡大防止策の実施や広域事例への支援等が求められる。併せて感染性や病原性の特徴等についての分析が必要。 N501Y変異を有さないE484K変異を有する変異株は、病原体サーベイランスを通じた実態把握の継続が必要。個人の基本的な感染予防策は、従来と同様に、3密、特にリスクの高い5つの場面の回避、マスクの着用、手洗いなどが推奨される。併せて、症状のある場合は適切な検査・受診が必要。