国立感染症研究所

掲載日:2022年1月11日

第66回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(令和4年1月6日、厚生労働省)の報告による、我が国における新型コロナウイルス感染症の状況等についてお知らせいたします(第66回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード 資料1)。

英語版(準備中)

感染状況について

新規感染者は急速に増加している。全国の新規感染者数(報告日別)は、直近の1週間では10万人あたり約5であるが、直近の今週先週比は3.26となっている。特に感染者が急増している地域として、沖縄県では10万人あたり約80で今週先週比は6.95、山口県では10万人あたり約22で今週先週比が11.11、広島県では10万人あたり約14で今週先週比が24.69となっている。また、関東や関西地方などの都市部を中心に新規感染者数の増加が見られる。全国で新規感染者数が急速に増加していることに伴い、療養者数と重症者数は増加傾向にある。

海外におけるオミクロン株による感染例は、継続的に増加している。国内においても、約8割の都道府県でオミクロン株の感染が確認されており、海外渡航歴がなく、感染経路が不明の事案が継続して発生している地域もある。またデルタ株からの置き換わりも進んでいる地域もあることを踏まえると、今後、感染拡大が急速に進み、医療提供体制等がひっ迫する可能性に留意する必要がある。

実効再生産数:
全国的には、直近(12/21時点)で1.31と1を上回る水準が継続しており、首都圏では1.26、関西圏では1.35となっている。

今後の見通しと必要な対策

  • 今後さらに感染が急拡大するおそれが強い。全国の新規感染者は、年末・年始にかけて急増しており、あわせてオミクロン株による感染例も増加している。特に、大阪府や沖縄県などにおいては、オミクロン株の感染のうち、海外渡航に関連のない事案が継続して発生しており、すでにデルタ株からオミクロン株へと置き換わりが進みつつある。さらに、夜間滞留人口は幅広い地域で昨年末の水準を下回っているものの、現在の感染者増加は、まだクリスマス前後の状況が反映されていると考えられる。その後の年末・年始の帰省などによる人の移動や接触が増加したことに加え、今週末には3連休、成人式やそれに関連した集まりがあることや、さらなる気温の低下に伴い屋内での活動が増えていくことも踏まえると、今後さらに感染が急拡大するおそれがある。
  • 今後の拡大傾向によっては、医療提供体制のひっ迫や重症化リスクの高い人々への感染拡大が懸念される。オミクロン株について、国際機関や諸外国から、ウイルスの性状や疫学的な評価に関する暫定的な報告がされている。また、国内の感染事例からも情報が得られつつある。現時点における情報は限られているが、南アフリカや英国等において流行株がデルタ株からオミクロン株に急速に置換されており、伝播性の高さが懸念される。また、オミクロン株はデルタ株に比して、世代時間、倍加時間や潜伏期間の短縮化、二次感染リスクや再感染リスクの増大が指摘され、ワクチンについては、重症化予防効果は一定程度保たれているものの、発症予防効果は著しく低下していると報告されている。さらに、実験室内での評価として、一部の抗体治療薬の効果が低下する可能性などが指摘されている。また、疫学情報や実験室研究などからは、デルタ株と比較してオミクロン株による感染は重症化しにくい可能性が示唆されているが、今後急速な感染拡大により、感染者数が急速に増加すれば、自宅・宿泊療養者や入院による治療を必要とする人が急激に増え、軽症・中等症の医療提供体制が急速にひっ迫する可能性に留意が必要である。また、重症化リスクの高い方々の間で急速に感染が拡がると、重症者や死亡者が発生する割合が高まるおそれがある。
  • 水際及び国内の各現場において、予防的・機動的な取り組みが求められる。
    • 水際では、オミクロン株対策のため、入国時検査での陽性者をオミクロン株陽性者とみなし、機内濃厚接触者を迅速に特定し、対応するとともに、陽性者に対する全ゲノム解析を継続させることが必要。
    • 国内では、オミクロン株による急速な感染拡大が懸念される中で、引き続き、監視体制を継続させる必要がある。国内でオミクロン株による感染が確認されており、検査体制の徹底による早期探知、迅速な積極的疫学調査や感染拡大防止策の実施が必要。なお、オミクロン株感染例と同一空間を共有した者については、マスクの着用の有無や接触時間に関わらず、幅広な検査の対象としての対応を行うことが推奨される。
    • 自治体では、地域の感染状況及び今後の感染者数や重症者数の予測に基づき、必要病床数の確保や検査、疫学調査などの保健所体制強化のための応援確保、自宅療養者に対する訪問診療やオンライン診療体制の構築を機動的に取り組んでいくことが求められる。
  • 地域における各施設の業務継続計画の早急な点検が必要である。

    地域で感染が急拡大することにより、特に医療機関、介護福祉施設では、職員とその家族の感染や、濃厚接触による職場離脱の可能性が高い。同様のことは保健所を含む自治体や交通機関などすべての社会機能維持に関わる職場でも起こりうる。このような事態に備えるための業務継続計画点検である。また、職場ではテレワークの活用も求められる。

  • ワクチン未接種者、追加接種者への情報提供の再強化が必要である。

    オミクロン株による急速な感染拡大が懸念される中で、特に、未接種者へのワクチン接種を進めることも必要であり、自治体においては、ワクチン接種に至っていない方への情報提供を進めることが求められる。あわせて、昨年12月から開始している追加接種を着実に実施していくことも必要。その際、医療従事者等や重症化リスクが高い高齢者の方々を対象とした前倒しを円滑に実施することが求められる。また、特例承認された経口治療薬は、軽症から中等症の重症化するリスクが高い患者を対象に使用できることから、治療へのアクセスを向上させ、一定の重症化予防効果が期待される。

  • オミクロン株による急速な感染拡大の想定を広く共有することが必要である。
    • 行政・事業者・市民の皆様には、国内でのデルタ株からオミクロン株への置き換わりが進み、今後急速に感染が拡がっていくことも想定すべき状況にあるとの認識をもって行動していただくことが必要。
    • オミクロン株においても基本的な感染対策は重要であり、ワクチン接種者も含め、マスクの正しい着用、手指衛生、換気などの徹底を継続することが必要である。また、三つの密(密集、密閉、密接)が重なるところは最も感染リスクが高いが、オミクロン株は伝播力が高いため、一つの密であってもできるだけ避けた方がよい。
    • オミクロン株による感染が確認された地域等においては、感染に不安を感じて希望する方を対象とした無料検査を受けることが可能となったことを改めて周知。
  • 感染拡大防止のためには、市民や事業者の皆様の協力が不可欠となる。

    新年を迎えて新年会や成人式などの恒例行事に際し、飲食店を利用する際は、換気などがしっかりとしている第三者認証適用店を選び、できるだけ少人数で行い、大声・長時間を避けるとともに、飲食時以外はマスクを着用することが必要。また、外出の際は、混雑した場所や感染リスクの高い場所を避けることが必要。ご自身の命を守るため、同時にオミクロン株による感染拡大防止のためにも、軽度の発熱、倦怠感など少しでも体調が悪ければ外出を控えるとともに、積極的な受診と検査が推奨される。特に、医療提供体制のひっ迫が懸念されるような急速な感染拡大が見られる地域では、より慎重な判断と行動が求められる。

 

感染状況分析・評価グラフ等 

Copyright 1998 National Institute of Infectious Diseases, Japan

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