国立感染症研究所

掲載日:2022年2月10日

第71回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(令和4年2月9日、厚生労働省)の報告による、我が国における新型コロナウイルス感染症の状況等についてお知らせいたします(第71回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード 資料1)。

英語版(準備中)

感染状況について

全国の新規感染者数(報告日別)は増加が続き、直近の1週間では10万人あたり約505人となっているが、今週先週比は1.19で増加速度の鈍化傾向が続いている。新規感染者の年代別の割合では20代が減少する一方、10歳未満や60代以上で増加している。

まん延防止等重点措置が適用されている35都道府県のうち、島根県、広島県、山口県、長崎県、熊本県、宮崎県及び沖縄県では今週先週比が1以下となり、新規感染者数は減少傾向あるいは上げ止まりとなった。また、群馬県も今週先週比が0.99と減少の兆しがある。それ以外の都道府県においても今週先週比は低下傾向で、増加速度の鈍化が継続している。新規感染者数の減少が続く沖縄県では、全ての年代で減少している。また、重点措置区域以外の秋田県、山梨県、鳥取県及び愛媛県でも今週先週比が1以下となった。

全国で新規感染者数の増加速度は鈍化しているが、療養者数、重症者数及び死亡者数の増加が継続している。

首都圏や関西圏ではほぼオミクロン株に置き換わっている。

 

実効再生産数:
全国的には、直近(1/24)で1.07と1を上回る水準となっており、首都圏では1.09、関西圏では1.06となっている。

地域の動向等

 ※新規感染者数の数値は、報告日ベースの直近1週間合計の対人口10万人の値。

<重点措置区域>
北海道

新規感染者数は今週先週比が1.30と増加が続き、約459(札幌市約669)。30代以下が中心。病床使用率は約3割。

東北

青森の新規感染者数は今週先週比が1.18と増加が続き、約221。30代以下が中心。病床使用率は3割強。山形、福島でも新規感染者数の増加が続き、それぞれ約171、194。いずれも今週先週比が1を上回る水準で増加。病床使用率について、山形では4割強、福島では4割強。

北関東

群馬の新規感染者数は今週先週比が0.99と1を下回り、約347。30代以下が中心。病床使用率は6割弱。茨城、栃木では新規感染者数の増加が続き、それぞれ約346、300。いずれも今週先週比が1を上回る水準で増加。病床使用率について、茨城、栃木では3割強。

首都圏(1都3県)

東京の新規感染者数は今週先週比が1.21と増加が続き、約926と全国で最も高い。30代以下が中心であるが、10歳未満も増加傾向。病床使用率は5割強、重症病床使用率は約4割。埼玉、千葉、神奈川でも新規感染者数の増加が続き、それぞれ約550、537、613。いずれも今週先週比が1を上回る水準で増加。病床使用率について、埼玉では7割弱、千葉では6割強、神奈川では7割弱。重症病床使用率について、神奈川では約4割。

中部・北陸

石川の新規感染者数は今週先週比が1.20と増加が続き、約297。30代以下が中心。病床使用率は5割強。新潟、長野でも新規感染者数の増加が続き、それぞれ約156、193。病床使用率について、新潟では3割強、長野では9割強。

中京・東海

愛知の新規感染者数は今週先週比が1.13と増加が続き、約521。30代以下が中心。病床使用率は5割強。岐阜、静岡、三重でも新規感染者数の増加が続き、それぞれ約302、324、292。いずれも今週先週比が1を上回る水準で増加。病床使用率について、岐阜、静岡では5割強、三重では5割弱。

関西圏

大阪の新規感染者数は今週先週比が1.15と増加が続き、約871。30代以下が中心。病床使用率は約9割、重症病床使用率は4割強。京都、兵庫、和歌山でも新規感染者数の増加が続き、それぞれ約689、714、387。いずれも今週先週比が1を上回る水準で増加。病床使用率について、京都では6割弱、兵庫では7割強。重症病床使用率について、京都では5割強、兵庫では2割強。

中国・四国

広島の新規感染者数は今週先週比が0.81と1を下回り、約267。30代以下が中心。病床使用率は5割強、重症病床率は3割強。島根、山口でも今週先週比がそれぞれ0.89、0.85と1を下回り、新規感染者数はそれぞれ約77、161と減少。岡山、香川では新規感染者数の増加が続き、それぞれ約391、246。いずれも今週先週比が1を上回る水準で増加が継続。病床使用率について、島根では約3割、岡山では5割強、山口では4割強、香川では5割強。

九州

福岡の新規感染者数は今週先週比が1.17と増加が続き、約642。30代以下が中心。病床使用率は8割強。佐賀、大分、鹿児島でも新規感染者数の増加が続き、それぞれ約432、269、263。いずれも今週先週比が1を上回る水準で増加。長崎、熊本、宮崎では今週先週比がそれぞれ0.91、0.85、0.86と1を下回り、新規感染者数はそれぞれ276、344、213。病床使用率について、佐賀では3割強、長崎、宮崎では4割強、熊本では6割強、大分では4割強、鹿児島では6割弱。重症病床使用率について、熊本では2割強。

沖縄

新規感染者数は今週先週比が0.67と1を下回る水準が続き、約295。八重山地域では増加が継続している。新規感染者は30代以下が中心。病床使用率は約6割、重症病床使用率は5割強。

<上記の重点措置区域以外>

岩手、宮城、富山、福井、滋賀、奈良、徳島、高知では、それぞれ約84、198、203、200、496、516、169、225。いずれも今週先週比が1を上回る水準で増加が継続。秋田、山梨、鳥取、愛媛では今週先週比がそれぞれ0.82、0.82、0.65、0.87と1を下回り、新規感染者数はそれぞれ132、235、122、133。病床使用率について、岩手では4割強、宮城、秋田、富山、徳島では3割強、福井では約2割、山梨では5割強、滋賀では約6割、奈良では7割強、鳥取では2割強、愛媛では4割弱、高知では約4割。

今後の見通しと必要な対策

  • 全国の新規感染者は増加が継続しているが、増加速度は鈍化している。感染は家庭、学校、保育所、職場、介護福祉施設などの場で継続していると考えられる。夜間滞留人口については、重点措置区域ではおおむね減少傾向にあるが、一部で増加している区域もある。一部の地域で新規感染者数の減少傾向や上げ止まりがみられる。大都市においても、今週先週比や報告日別の実効再生産数が1に近づきつつあることから、今後新規感染者数がピークを迎える可能性がある。一方、報告の遅れや検査のひっ迫により、公表データが実態と乖離している可能性が指摘されていることや、今後BA.2系統に置き換わることで再度増加に転じる可能性にも注意が必要である。
  • オミクロン株へと置き換わりが進んでおり、より重症化しやすいデルタ株による感染者は減少しているが、未だに検出されている。オミクロン株による感染拡大が先行した沖縄県では新規感染者数が減少しているが、入院患者・施設療養者が減少に転じるまで2週間程度のタイムラグが見られた。また、介護福祉施設における感染者も減少に至るまで同様の傾向であった。
  • 今後、多くの地域で新規感染者数が若者世代中心に減少しても、当面は軽症・中等症の医療提供体制等はひっ迫が続き、さらに、高齢の重症者数が増加して重症病床もひっ迫する可能性も高まっている。また、基礎疾患を有する陽性者でコロナ感染による肺炎が見られなくても、感染により基礎疾患が増悪することで、入院を要する感染者が増加することにも注意が必要。
  • 例年、この時期は救急搬送事案が多く発生しており、救急搬送困難事案に係る状況調査によれば、コロナ疑い事案よりも非コロナ疑い事案が増加している自治体が多い。コロナ疑い事案の急増もあり、救急搬送困難事案は、昨年の同時期や夏の感染拡大時を上回る状況にある。通常医療、特に救急医療に対して既に大きな負荷がかかっている。

オミクロン株の特徴に関する知見

【感染性・伝播性】

オミクロン株はデルタ株に比べ、世代時間が約2日(デルタ株は約5日)に短縮、倍加時間と潜伏期間も短縮し、感染後の再感染リスクや二次感染リスクが高く、感染拡大の速度も非常に速いことが確認されている。なお、潜伏期間よりも発症間隔が短いとするデータが提示されており、これまでの株と同様に発症前の伝播は一定程度起きていると考えられる。

【感染の場・感染経路】

国内では、多くの感染がこれまでと同様の機会(換気が不十分な屋内や飲食の機会等)で起きており、感染経路もこれまでと同様に飛沫やエアロゾルの吸入、接触感染等を介していると考えられている。

【重症度】

オミクロン株による感染はデルタ株に比べて相対的に入院のリスク、重症化のリスクが低い可能性が示されているが、オミクロン株感染による入院例が既に増加している。

【ウイルスの排出期間】

オミクロン株感染症例におけるウイルスの排出については、ワクチン接種の有無にかかわらず時間の経過とともに減少し、有症状者では、従来株と同様に発症日をゼロ日目として、10日目以降において排出する可能性は低いことが示された。また、無症状者では、診断日から8日目以降において排出する可能性が低いことが示された。

【ワクチン効果】

初回免疫によるオミクロン株感染に対する発症予防効果は著しく低下するが、入院予防効果は一定程度保たれている。また、ブースター接種によるオミクロン株感染に対する発症予防効果や入院予防効果が回復することも報告されている。

【BA.2系統】

海外の一部地域ではBA.2系統による感染が拡大している。現状、国内におけるオミクロン株の主流はBA.1系統であるが、BA.2系統も検疫や国内で検出されている。今後も一定数のゲノム解析によるモニタリングを継続する必要がある。なお、BA.2系統はBA.1系統との比較において、実効再生産数及び家庭内二次感染リスク等の分析から、感染性がより高いことが示されている。デンマークの報告によれば、重症度について、BA.1系統とBA.2系統で入院リスクに関する差は見られないとされている。また、英国の報告では、ワクチンの予防効果にも差がないことが示されている。

オミクロン株による感染拡大を踏まえた取組

【感染急拡大地域における検査・診断及びサーベイランス】

検査診断体制や保健所への届出処理がひっ迫し、公表データと実態との乖離が懸念される。発生動向を把握するため、実効性ある適切なサーベイランスの検討が必要。さらに、これまでの知見等も踏まえた検査・積極的疫学調査の重点化などを実施すべき。また、感染に不安を感じて希望する方を対象とした無料検査については、検査需要の急増と検査能力に注意が必要であり、優先度の高い検査が確実にできる体制を確保することが必要。

【国内の変異株監視体制】

全国的に感染拡大が進む中で、オミクロン株への置き換わりの状況を含めた地域の感染状況に応じた監視体制を継続させる必要がある。また、重症者やクラスター事例等ではデルタ株を含めてゲノム解析による確認も必要。

【自治体における取組】

自治体では、地域の感染状況及び今後の感染者数や重症者数の予測に基づき、必要病床数と医療従事者の確保や地域に必要な保健所機能の維持と体制強化のための応援確保、自宅療養者に対する訪問診療やオンライン診療体制の構築について機動的に取り組むことが必要。その際、高齢者や基礎疾患のある者など、重症化リスクのある患者を対象とする経口治療薬や中和抗体薬を迅速に投与できる体制を確保することが求められる。また、冬の時期は通常医療でも救急搬送が必要な急性疾患が多くなるため、コロナ医療と通常医療とのバランスに留意すべき。感染が急拡大した場合には、重症化リスクの高い方について、迅速かつ確実に受診・健康観察に繋げることが必要。また、コロナに罹患していても、基礎疾患 の治療が継続できるような体制を整えることが必要。

【ワクチン未接種者、追加接種者への情報提供の再強化】

自治体では、ワクチン接種に関する情報提供を進めることが求められる。未接種者へのワクチン接種とともに、既に開始している追加接種を着実に実施していくことも必要。高齢者の感染者増加が今後も継続する可能性がある。このため、高齢者等への接種を更に加速化するとともに、高齢者等以外の一般の方々についても、順次、できるだけ多く前倒しを実施することが求められる。

【水際対策】

入国後の待機期間については、10日間から7日間にさらに短縮された。今後の水際対策については、海外及び国内のオミクロン株など変異株の流行状況なども踏まえて検証する必要がある。また、入国時検査での陽性者は、海外における流行株監視のため、全ゲノム解析を継続させることが必要。

オミクロン株の特徴を踏まえた感染防止策の強化・徹底

オミクロン株による感染拡大の状況を踏まえ、2月4日の新型コロナウイルス感染症対策分科会において提言が取りまとめられたところであり、感染が広がっている場面・場所においてオミクロン株の特徴を踏まえた感染防止策の強化・徹底が求められる。

  • 学校・幼稚園・保育所等においては、新型コロナウイルス感染陽性者や濃厚接触者が多くの地域で増加している。自治体による教職員や保育士などに対する積極的なワクチンの接種促進が必要。また、分散登校やリモート授業などの組み合わせによる教育機会の確保や社会機能維持にも配慮する必要がある。
  • 介護福祉施設においては、入所者及び従事者に対するワクチンの追加接種を進めるとともに、従業者等へは積極的な検査を実施することも必要。また、施設等における感染管理や医療に関して外部からの支援が重要。
  • 職場においては、社会機能維持のため、業務継続計画を早急に点検することに加え、企業におけるテレワークの活用や休暇取得の促進等により、出勤者数の削減に取り組むとともに、接触機会を低減することが求められる。また、従業員の体調管理を徹底することが必要であることに加え、職域におけるワクチンの追加接種を積極的に進めるべきである。
現在の感染状況を市民や事業者の皆様と広く共有して、感染拡大防止に協力していただくことが不可欠
  • 行政・事業者・市民の皆様には、オミクロン株においても基本的な感染防止策は有効であることから、不織布マスクの正しい着用、手指衛生、換気などの徹底を継続していただくことが必要。また、三つの密(密集、密閉、密接)が重なるところは最も感染リスクが高いが、オミクロン株は伝播力が高いため、一つの密であってもできるだけ避けることが必要。さらに、重症化予防・発症予防の観点から、ワクチンの追加接種を受けていただくことが効果的である。
  • 外出の際は、混雑した場所や換気が悪く大人数・大声を出すような感染リスクの高い場面・場所を避けることが必要。行動はいつも会う人と少人数で。飲食は、できるだけ少人数で黙食を基本とし、飲食時以外はマスクの着用を徹底することが必要。
  • ご自身やご家族の命を守るため、同時にオミクロン株による感染拡大防止のためにも、軽度の発熱、倦怠感など少しでも体調が悪ければ外出を控えるとともに、自治体等の方針に従って受診や検査をすることが必要。

 

感染状況分析・評価グラフ等 

Copyright 1998 National Institute of Infectious Diseases, Japan

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