掲載日:2022年7月1日

第89回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(令和4年6月30日、厚生労働省)の報告による、我が国における新型コロナウイルス感染症の状況等についてお知らせいたします(第89回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード 資料1)。

英語版(準備中)

感染状況について

全国の新規感染者数(報告日別)は、直近の1週間では10万人あたり約92人となり、今週先週比は1.17と増加に転じている。
また、年代別の新規感染者数は、概ね全ての年代で微増となっている。

新規感染者数の増加に伴い、療養者数及び重症者数は緩やかな増加に転じている。病床使用率は総じて低水準にあり、死亡者数は減少傾向にある。

実効再生産数:
全国的には、直近(6/12)で0.98と1を下回る水準となっており、首都圏では1.02、関西圏では0.97となっている。

地域の動向

 ※新規感染者数の数値は、報告日ベースの直近1週間合計の対人口10万人の値。

北海道

新規感染者数は今週先週比が0.85と1を下回り、約77(札幌市約85)。30代以下が中心。70代で横ばいとなる一方、その他の年代で微減又は減少。病床使用率は1割弱。

北関東

茨城の新規感染者数は今週先週比が1.01と1を上回り、約52。20代以下が中心。10-20代で増加、40-50代で微増となる一方、その他の年代では微減又は減少。病床使用率は1割弱。栃木、群馬では今週先週比がそれぞれ0.85、0.72と1を下回り、新規感染者数はそれぞれ約30、34。病床使用率について、群馬では1割弱、栃木では1割未満。

首都圏(1都3県)

東京の新規感染者数は今週先週比が1.37と1を上回り、約118。30代以下が中心。全ての年代で微増又は増加。病床使用率は1割強、重症病床使用率は1割強。埼玉、千葉、神奈川でも今週先週比がそれぞれ1.13、1.27、1.25と1を上回り、新規感染者数はそれぞれ約65、63、77。病床使用率について、埼玉では約1割、千葉、神奈川では1割弱。

中京・東海

愛知の新規感染者数は今週先週比が1.21と1を上回り、約88。20代以下が中心。全ての年代で微増又は増加。病床使用率は1割弱。岐阜、静岡、三重でも今週先週比がそれぞれ1.21、1.29、1.29と1を上回り、新規感染者数はそれぞれ約75、54、75。病床使用率について、岐阜では1割弱、静岡では1割未満、三重では1割強。

関西圏

大阪の新規感染者数は今週先週比が1.33と1を上回り、約117。20代以下が中心。80代以上で横ばいとなる一方、その他の年代で微増又は増加。病床使用率は1割強、重症病床使用率は1割弱。京都、兵庫、和歌山では今週先週比がそれぞれ1.04、1.21、1.53と1を上回り、新規感染者数はそれぞれ約82、86、77。滋賀、奈良では今週先週比が0.98、0.97と1を下回り、新規感染者数は約75、54。病床使用率について、京都では1割強、和歌山では約1割、滋賀、兵庫では1割弱、奈良では1割未満。

九州

福岡の新規感染者数は今週先週比が1.20と1を上回り、約110。30代以下が中心。全年代で微増又は増加。病床使用率は約1割。佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎でも今週先週比がそれぞれ1.42、1.16、1.39、1.34、1.53と1を上回り、新規感染者数はそれぞれ約187、137、227、84、147。鹿児島では今週先週比が0.99と1を下回り、新規感染者数は約148。病床使用率について、佐賀では1割強、長崎では約1割、熊本では2割強、大分、宮崎では1割未満、鹿児島では2割強。

沖縄

新規感染者数は今週先週比が1.15と1を上回り、650と全国で最も高い。30代以下が中心。60代で横ばいとなっている一方、その他の年代では増加。特に10代以下で増加が顕著。病床使用率は約4割、重症病床使用率は2割弱。

上記以外

青森、島根、広島、山口、愛媛、高知の新規感染者数はそれぞれ約129、195、82、80、107、111。病床使用率について、青森では2割強、島根、広島、山口、愛媛、高知では1割強。

今後の見通しと必要な対策

  • 感染状況について
    • 新規感染者数について、全国的に上昇傾向に転じた(今週先週比で1を上回るのが29都府県)。地域別に見ると、まだ減少を続けている地域もあるが(18道府県で減少)、大都市では概ね上昇傾向となった。また、地方では増加速度の速い地域も見られる。沖縄県は他の地域よりも感染レベルが高く、上昇傾向となっており、今後の感染状況の動向について特に注視が必要。

    • 年代別の新規感染者数では、全国的には概ね全ての年代で微増となっている。また、東京都では20代の増加幅が大きい。また、沖縄県では全年代で増加しているが、高齢者でも増加が続いていることから、感染状況を注視していく必要がある。

    • 新規感染者の感染場所について、学校等における割合が引き続き減少傾向にあるものの、依然として高い割合で推移している。また、自宅における割合が減少傾向にある。

    • 今後の感染状況について、大都市における短期的な予測では今後、新規感染者数の増加が見込まれ、①ワクチンの3回目接種と感染により獲得された免疫には徐々に減衰していくこと、②7月以降は梅雨明け、3連休や夏休みの影響もあり、接触の増加等が予想されること、③オミクロン株の新たな系統への置き換わりの可能性もあること等から、今後は感染者数の増加も懸念されるところであり、医療提供体制への影響も含めて注視していく必要がある。

  • 感染の増加要因と抑制要因について

    感染状況には、以下のような感染の増加要因と抑制要因の変化が影響するものと考えられる。

    【接触パターンについて】

    夜間滞留人口について、大都市中心に多くの地域で増加傾向がみられる。これらの中には、昨年末のピークに迫る地域や超える地域もあるため、今後の感染状況への影響に注意が必要。

    【流行株について】

    BA.1系統から、BA.2系統へ置き換わったが、新たな系統として、BA.2.12.1系統、BA.4系統及びBA.5系統が国内でも検出されており、特に、BA.5系統においては、今後、国内の主流系統となり、感染者数の増加要因となる可能性がある。

    【ワクチン接種等について】

    3回目接種が進んでいるが、3回目接種から一定の期間が経過することに伴い、感染予防効果は、より早く接種を受けた人から今後減弱していくことが予想され、留意が必要。また、これまでの感染により獲得した免疫についても、今後徐々に減弱することが予想される。

    【気候要因について】

    気温の上昇により屋内での活動が増える時期であるが、冷房を優先するため換気がされにくい場合もある。

  • 医療提供体制について
    • 全国的には、病床使用率は総じて低水準にあるが、新規感染者数が上昇傾向に転じたことに伴い、大都市で下げ止まりの傾向となった。一方、沖縄県では、入院者数や病床使用率が横ばいから微増の状況にあり、重症病床使用率も増加している。
    • 救急搬送困難事案については、非コロナ疑い事案、コロナ疑い事案ともに、直近では全国的に増加傾向となった。また、今後熱中症による救急搬送が増えることも予想され、十分な注意が必要である。
  • オミクロン株による感染拡大を踏まえた取組
    【サーベイランス等】

    発生動向把握のため、実効性ある適切なサーベイランスの検討が必要。また、変異株について、 ゲノムサーベイランスで動向の監視を継続することが必要。さらに、重症例やクラスター事例等では、変異株PCR検査や全ゲノム解析による確認が求められる。

    【自治体における取組】

    全国的に新規感染者数が上昇傾向に転じており、自治体では、診療・検査体制や保健所体制の点検が必要である。

    • 地域の感染状況に基づき、必要な医療提供体制の構築に改めて取り組むことが必要。
    • 高齢者施設等に対する医療支援体制の強化・徹底にあたっては、医療関係部局と介護関係部局が連携し、地域の関係者とも協議しつつ進めていくことが重要。
    • 健康観察等の重点化や患者発生届の処理の効率化など事務連絡に基づき、効率的に保健所業務を実施するとともに、地域に必要な保健所機能を維持するため、外部委託や本庁での一元化による体制を確保することが重要。
    • 先般、効果的かつ負担の少ない医療・介護場面における感染対策が示されたところであり、感染リスクや感染対策に関する知見が蓄積される中で、各施設の実情に合わせた無理のない感染対策を考えていくことが重要。
    【ワクチン未接種者、3回目及び4回目接種者への情報提供等】
    • 自治体では、ワクチン接種に関する情報提供を進めることが重要。未接種者へのワクチン接種とともに、3回目及び4回目接種を着実に実施していくことも必要。3回目接種の主な目的は発症予防・重症化予防である。 3回目接種率について、6月29日公表時点で65歳以上高齢者では約90%、全体では約62%となった。対象者への3回目の接種を今後も着実に実施し、希望する方にはできるだけ多く接種していただくことが求められている。4回目接種については、重症化予防を目的として、60歳以上の者と、重症化リスクの高い基礎疾患を有する者、その他重症化リスクが高いと医師が認める方を対象として開始された。また、新たなワクチンを1~3回目接種用として接種開始できるようになった。このワクチンは、従来の新型コロナワクチンとは異なる種類であり、ワクチンの多様性を確保できるとともに、国内で製造が行われることからワクチン供給の安定性の確保につながるものである。
    • 5歳から11歳までの子どもへのワクチン接種については、特例臨時接種として実施されているが、その際、努力義務の規定はこれらの小児について適用しないことを踏まえ、接種を進めていくことが必要。また、小児への感染予防を期待して、保護者や周囲の大人がワクチンの3回目接種を行うことも重要。
    【水際対策】

    海外及び国内の現在の流行状況なども踏まえて水際対策の段階的な見直しを検証していく必要がある。また、出国前検査は継続して求めつつ流入リスクに応じた対応を行うとともに、入国時検査での陽性者は、海外における流行株監視のため、全ゲノム解析を継続させることが必要。

  • オミクロン株の特徴を踏まえた感染防止策の強化・徹底
    • 感染が広がっている場面・場所において、オミクロン株の特徴を踏まえた感染防止策の強化・徹底が求められる。
      学校・幼稚園・保育所等においては、児童・生徒の感染リスクが高まる場面を職員や子ども・保護者等と共有しつつ、子どもの感染対策はもとより、教職員や保育士などに対する積極的なワクチンの接種促進も含め感染対策を徹底する。その上で、できるだけ教育活動や社会機能などの継続に取り組むことが必要。子どもや職員が少しでも体調が悪い場合は、休暇を取得できる環境を確保することが重要。あわせて、家庭内での感染対策の徹底も求められる。また、2歳未満の児童についてはマスク着用は推奨しないこと、2歳以上の就学前児については、熱中症のリスクや表情が見えにくくなることによる影響も懸念されることから、マスク着用を一律には求めず、無理に着用させないことについて、保育所等に対し周知・徹底することが必要。学校においては、体育の授業・運動部活動や登下校の際にはマスク着用が必要ないことを学校現場に周知・徹底することが必要。
    • 高齢者の感染を抑制するため、介護福祉施設における対策の徹底が必要。このため、従業者等へは積極的な検査を実施する。また、重症化予防のため、入所者に対するワクチンの4回目接種を進める。さらに、施設等における感染管理や医療に関して外部からの支援体制を確保し、施設で感染が確認された際には早期に迅速な介入が重要。
    • 職場においては、社会機能維持のため、業務継続計画の活用に加え、テレワークの活用や休暇取得の促進等の取組が求められる。また、従業員の体調管理を徹底し、少しでも体調が悪い場合には休暇を取得できる環境を確保することが必要。さらに、職域におけるワクチンの3回目接種を積極的に進めるべきである。
  • 現在の感染状況を市民や事業者の皆様と広く共有して、感染拡大防止に協力していただくことが不可欠

    全国的には、新規感染者数が上昇傾向に転じた。これから3連休や夏休みなどを迎え、接触の増加等が予想される。このため、感染者数の増加をできるだけ抑制するために、基本的な感染対策と日頃の体調管理を徹底し、感染リスクの低減に向けた取組にご協力いただくことが必要。

    【ワクチン接種について】

    感染拡大に備えて、高齢者および重症化リスクのある対象者はワクチンの4回目接種が推奨される。また、3回目接種も、その種類に関わらず、受けていただくことが重要。新型コロナウイルス感染症に罹患すると、若年者でも重症化することがあり、また、遷延症状が見られる場合もあることから、高齢者はもとより、若年者も自らの健康を守るために接種していただくことが求められる。これまで1・2回目接種できていない方々にも改めて接種を検討していただくことが重要。

    【感染対策の徹底】

    基本的な感染対策として、不織布マスクの正しい着用、手指衛生、換気などの徹底を継続することが必要。また、三つの密(密集、密閉、密接)が重なるところは最も感染リスクが高いが、一つの密であってもできるだけ避けることが必要。

    【外出等に際して】

    混雑した場所や換気が悪く大人数・大声を出すような感染リスクの高い場面・場所を避けることが必要。行動はいつも会う人と少人数で。飲食はできるだけ少人数で黙食を基本とし、飲食時以外はマスク着用の徹底が必要。一方で、屋外については、近距離で会話する場合を除き、マスク着用は必要ない。特に、夏場については、熱中症予防の観点から屋外ではマスクを外すことを推奨する。

    【体調管理について】

    軽度の発熱、倦怠感など少しでも体調が悪ければ外出を控えるとともに、自治体等の方針に従って受診や検査をすることが必要。特に、高齢者をはじめ、重症化リスクの高い方と会う機会がある場合には注意が必要。

≪参考:オミクロン株の特徴に関する知見≫
【感染性・伝播性】

オミクロン株はデルタ株に比べ、世代時間が約2日(デルタ株は約5日)に短縮、倍加時間と潜伏期間も短縮し、感染後の再感染リスクや二次感染リスクが高く、感染拡大の速度も非常に速いことが確認されている。なお、報告されているデータによれば、これまでの株と同様に発症前の伝播は一定程度起きていると考えられる。

【感染の場・感染経路】

国内では、多くの感染がこれまでと同様の機会(換気が不十分な屋内や飲食の機会等)で起きており、感染経路もこれまでと同様、飛沫が粘膜に付着することやエアロゾルの吸入、接触感染等を介していると考えられている。

【重症度】

オミクロン株による感染はデルタ株に比べて相対的に入院のリスク、重症化のリスクが低いことが示されているが、現時点で分析されたオミクロン株による感染の致命率は、季節性インフルエンザの致命率よりも高いと考えられる。また、肺炎の発症率についても季節性インフルエンザよりも高いことが示唆されているが、限られたデータであること等を踏まえると、今後もさまざまな分析による検討が必要。今回の感染拡大における死亡者は、昨年夏の感染拡大と比べ、80歳以上の占める割合が高くなっている。例えば、感染する前から高齢者施設に入所している利用者が感染し、基礎疾患の悪化等の影響で死亡するなど、新型コロナウイルス感染症が直接の死因でない事例も少なくないことが報告されている。高齢の感染者や基礎疾患を有する感染者の基礎疾患の増悪や、心不全や誤嚥性肺炎等の発症にも注意が必要。

【ウイルスの排出期間】

オミクロン株感染症例におけるウイルスの排出は、時間の経過とともに減少する。有症状者では、発症日から10日目以降において、排出する可能性が低くなることが示された。なお、無症状者では、診断日から8日目以降において排出していないことが示された。

【ワクチン効果】

初回免疫によるオミクロン株感染に対する感染予防効果や発症予防効果は著しく低下する。入院予防効果については、半年間は一定程度保たれているものの、その後50%以下に低下することが報告されている。一方で、3回目接種によりオミクロン株感染に対する感染予防効果、発症予防効果や入院予防効果が回復することや、3回目接種後のワクチン効果の減衰についても海外から報告されている。

【オミクロン株の亜系統】

現在、日本では引き続きBA.2系統が主流である。

世界におけるBA.4系統及びBA.5系統の占める割合が増加しており、これらの系統はBA.2系統と比較して感染者増加の優位性が示唆されている。世界的には、BA.4系統及びBA.5系統へ置き換わりつつある中で、陽性者数が増加傾向となっている。なお、BA.4系統及びBA.5系統の感染力に関する明確な知見は示されていない。

WHOレポートでは、複数の国から集積した知見によると、BA.4系統及びBA.5系統に関して、既存のオミクロン株と比較した重症度の上昇は見られないとしている。

BA.4系統及びBA.5系統は全て国内及び検疫で検出されている。ゲノムサーベイランスによると、引き続き国内ではBA.2系統が主流であるが、BA.4系統及びBA.5系統については今後、検出割合が増加する可能性もある。ウイルスの特性について、引き続き、諸外国の状況や知見を収集・分析するとともに、ゲノムサーベイランスによる監視を続けていくことが必要としている。

 

感染状況分析・評価グラフ等

Copyright 1998 National Institute of Infectious Diseases, Japan