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詳細
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- 診療の現状
ATLは様々な病態から、急性型、リンパ腫型、慢性型、くすぶり型の4病型に分類されている。急性型およびリンパ腫型ATLは、aggressive ATLとも呼ばれ、最も予後の悪い造血器悪性腫瘍である。慢性型およびくすぶり型ATLは、indolent ATLとも呼ばれるが、その大多数が経過中に急性転化し、その長期予後は不良である。
ATLはその病型に応じて治療法を選択する必要がある。ATLに対する代表的な治療法としては多剤併用化学療法がある。しかし、最新の報告でもaggressive ATLの生存期間中央値は13ヶ月にとどまっており16)、満足できるものではない。Indolent ATLの患者に対しては、無治療でも長期生存する場合があり、急性転化などで病勢が悪化するまでは無治療のまま経過観察されることが多い。
九州・沖縄地方等のHTLV-1浸淫地域ではATL診療に経験のある専門の医師が多く、拠点となる病院が形成されている。しかし、HTLV-1非浸淫地 域である関東や近畿地方等の大都市圏では、キャリアとATL患者の実数がHTLV-1浸淫地域に匹敵するにもかかわらず、ATLを専門的に診療できる医師 が少ないことで、HTLV-1浸淫地域と非浸淫地域における診療レベルに差異がある可能性がある。
- 治療法開発の現状
Aggressive ATLに対する多剤併用化学療法に関しては、日本臨床腫瘍グループ(Japanese Clinical Oncology Group: JCOG)のリンパ腫班(Lymphoma Study Group: LSG)を中心に臨床試験が継続的に行われている。また近年、aggressive ATLに対する根治療法として同種造血幹細胞移植療法が注目されており17)、特に骨髄非破壊的な移植療法、いわゆる“ミニ移植”は比較的高齢の患者にもその有効性が期待されているが、まだ結論に至っていない。さらに、欧米ではインターフェロンαと抗エイズ薬のアジドチミジンを併用した“抗ウイルス療法”の有用性が報告されている18)。Indolent ATLの治療法に関しては、組織的な臨床試験は現在のところ行われていない。
ATLを含むT細胞リンパ腫に対する新規薬剤を用いた臨床試験がいくつか進行中または計画されている。その中でも、我が国で開発された抗CCR4抗体 (KW-0761)を用いた臨床試験は、抗体医薬を用いたATLに対する国内で初めての臨床試験である。ATLの再発・治療抵抗例に対し、第I相試験で は、奏効率31.3%、臨床奏効率43.7%が得られ19)、第II相試験では奏効率50.0%が得られている(2010年米国血液学会報告)。このように、ATLに対する標的分子の解析や治療法への応用などが試みられており、これまで実験室レベルで臨床応用が困難であった治療薬開発に関する研究の、 今後の飛躍的な発展が期待される。