被災地においては、水系・粉塵曝露を原因とした感染症や避難所での密集した集団生活による感染症が流行するリスクがあります。ボランティアで被災地・避難所へ向かわれる方には、主に感染症予防(特に持ち込みおよび自身の罹患の予防)という観点から、是非以下の点についてご留意ください。
- ●ご自身の体調が悪い場合は、ボランティアの延期を検討し、体調が完全に回復してから現地に向かうようにしてください。
- ●ワクチンで予防できる疾患に関しては(以下を参照)、母子健康手帳などでご自身のワクチン接種歴を確認し、望ましいと考えられるワクチンについては、可能な限り出発前に接種してから現地に向かうことを推奨します。
(優先順位:高◎、中○、低△)
‐◎ 麻疹・風疹混合ワクチン(2回の接種記録がない場合)
‐○ 破傷風トキソイドワクチン
※創傷を負う可能性がある作業に従事する場合には接種を強く推奨
※特に50歳以上(2018年度調査時年齢:2019年現在は51歳未満と推定される)では免疫を持っている人が少ないので接種を推奨(参考資料「感染症流行予測調査」:https://www.niid.go.jp/niid/ja/y-graphs/8790-tetanus-yosoku-serum2018.html)
※50歳未満(2018年度調査時年齢:2019年現在は51歳未満と推定される)で、小児期にDPT,DTワクチンの接種を受けている方は、過去10年以内に接種を受けていなければ、1回の追加接種を推奨
‐○ A型肝炎ワクチン(特に60歳未満では免疫保有者が少なく、接種を推奨)
‐△ 水痘・おたふくかぜワクチン(これまでに罹ったことがなくワクチンを受けていない場合には、接種を検討)
- ●現地での健康管理には、ご自身で十分注意してください。日中活動の際には熱中症にも十分留意して適宜水分補給等を行ってください。
- ●被災地で体調の悪い時は、ボランティアセンターあるいはそのチームのリーダー、健康管理者などに告げて、第一線を離れて下さい。ご本人のためのみでなく、被災された方々に感染を拡大させないために重要です。
- ●野外活動を行う際には、ダニ媒介感染症についても注意が必要です。森林や草地等に入られる場合、ダニ媒介性疾患(日本紅斑熱、ツツガムシ病、SFTS等)の感染の可能性があるため、森林や草地等に入られる場合は長袖、長ズボン及び足を完全に覆う服装をして肌の露出を少なくすることが重要です。(「マダニ対策、今できること」参照:https://www.niid.go.jp/niid/ja/sfts/2287-ent/3964-madanitaisaku.html)。
- ●咳エチケット(マスクの着用※、咳き込むときに口を覆うことなど)、飲食前、トイレ後の手指衛生など(擦式アルコール手指消毒薬、アルコール綿の小パッケージなどの持参を推奨)、可能な限りの感染症予防策を心掛けてください。
※被災地・避難所ではマスクが不足している場合があります。ご自身で使用されるマスクは、十分な枚数ご持参ください。
感染症を被災地に持ち込まない、およびご自身が罹患しないために、最大限の努力をよろしくお願いします。
(文責)国立感染症研究所感染症疫学センター