国立感染症研究所

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A群ロタウイルスのGおよびP遺伝子型別検出状況(2009/10~2015/16シーズン)―広島市

(IASR Vol. 37 p. 138-139: 2016年7月号)

感染性胃腸炎(病原体がロタウイルスであるものに限る)は感染症法施行規則の一部改正(平成25年10月14日施行)により5類感染症の基幹定点医療機関報告対象疾患に追加された。2016年広島市においては, 第4週(1月25日~1月31日)頃から報告数が増加し始め, 第18週(5月2日~5月8日)には26人(定点当たり3.71人)の報告があった(http://www.city.hiroshima.lg.jp/www/contents/1381978283170/index.html)。そこで病原体定点医療機関から提出された検体および集団発生事例検体から検出されたA群ロタウイルスについて中和抗原を有すると考えられるVP7およびVP4遺伝子を解析したので報告する。

2009年9月~2016年4月までに採取され, A群ロタウイルス陽性となった糞便34検体について, 国立感染症研究所病原体検出マニュアルおよびJon R. Gentschらの報告1)に準じてVP7およびVP4遺伝子をRT-PCR法により増幅し, シークエンス解析を行った。

採取年月日および遺伝子型等をに, シーズン別遺伝子型別検出状況を図1に示した。2009/10シーズン~2011/12シーズンまでは, 18株のうちG1P[8]が13株, G2P[4]が2株であった。なお, G2P[4]は2株とも集団事例であった(同一集団事例は1株として計上した)。日本においては, 2011年11月にロタリックス, 2012年7月にロタテックが販売開始されている。日本でのロタウイルスワクチン販売以降の2015/16シーズンは6株のうち1株(G型別ができなかったもの)を除き5株すべてG2P[4]であった。全国の検出状況(IASR:シーズン別ウイルス検出状況, 由来ヒト:胃腸炎ウイルス, 2005/06~2015/16; https://nesid4g.mhlw.go.jp/Byogentai/Pdf/data96j.pdf)においても2015/16シーズンはG2が多い状況であることから, 全国的にG2P[4]が主流であると推測される。

また, 2009/10シーズンに検出された2100301F(G2P[4])と2015/16シーズンに検出された2161108F(G2P[4])の相同性を比較したところ, VP7遺伝子では99.147%, VP4遺伝子では99.598%であった(図2および図3)。

2006年にロタリックスを導入したブラジル, 2006年にロタリックスおよび2007年にロタテックを導入したベルギーにおいては, その後G2の分布が広まり, 2007年にワクチンを導入したオーストラリアでは, ロタリックス投与地域ではG2, ロタテック投与地域ではG3の分布が広まったとの報告2)がある。ワクチン導入後の一時的な流行であるかどうかを見極めるためにも今後も引き続き解析をし, 動向を把握する必要があると考えられる。

 

参考文献
  1. Gentsch JR, et al., J Clin Microbiol 30: 1365-1373, 1992
  2. 谷口孝喜, ウイルス62: 87-96, 2012

広島市衛生研究所
 山本美和子 則常浩太 藤井慶樹 八島加八 松室信宏 石村勝之

Copyright 1998 National Institute of Infectious Diseases, Japan

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