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わが国における肺吸虫症の発生現況

(IASR Vol. 38 p.76-77: 2017年4月号)

肺吸虫は基本的には, 第2中間宿主の淡水産カニを感染源とする食品媒介蠕虫である。本虫の分布地は, アジアを中心にラテンアメリカやアフリカに存在し, 日本も分布地の一つに含まれる。症例発生の原因となる肺吸虫の種類は, わが国ではウェステルマン肺吸虫および宮崎肺吸虫の2種である。肺吸虫に感染すると, 虫体は胸腔・肺に移行してさまざまな呼吸器症状を引き起こすが, その臨床症状や画像所見は肺癌や肺結核と類似するために, 類症鑑別の重要性が常に指摘されてきた。また, 神経系への虫体侵入により, 重篤な症状を呈する症例も報告されている。

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