(IASR Vol. 40 p116-117:2019年7月号)
重症熱性血小板減少症候群ウイルス(SFTSV)はマダニにおけるすべてのステージを経ること(経ステージ), ならびに経卵性伝播することが知られている(マダニサイクル)。これらウイルス保有マダニにヒトを含む各種の哺乳動物が咬まれる際にヒトや動物がウイルスに感染する。ウイルスに感染した動物の一部はウイルス血症になり, ウイルス血症になっている動物を咬んだマダニはウイルスを獲得する(動物サイクル)。マダニサイクルでは一匹のウイルス保有雌マダニの産卵により数多くのウイルス保有幼ダニが生まれ, 動物サイクルでは1頭のウイルス血症を示した動物から多数のウイルス保有マダニが生じる。条件さえ整えば, 地域でSFTS保有マダニが確実に増えると考えられる。