国立感染症研究所

掲載日:2021年10月8日

第54回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(令和3年10月6日、厚生労働省)の報告による、我が国における新型コロナウイルス感染症の状況等についてお知らせいたします(第54回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード 資料1)。

英語版(準備中)

感染状況について

全国の新規感染者数(報告日別)は減少が継続。直近の1週間では10万人あたり約7となっており、今回の感染拡大前の水準まで減少している。

新規感染者数の減少に伴い、療養者数、重症者数や死亡者数(※)も減少が続いているが、大都市圏を中心になお多くの重症者が療養中であることに留意が必要。公衆衛生体制・医療提供体制についても改善傾向が続いている。

実効再生産数:
全国的には、直近(9/19時点)で0.61と1を下回る水準が続き、首都圏では0.58、関西圏では0.62となっている。

(※)各自治体が公表している数を集計したもの。公表日ベース。

感染状況の分析【地域の動向等】

 ※新規感染者数の数値は、報告日ベースの直近1週間合計の対人口10万人の値。

首都圏(1都3県)

東京では、新規感染者数は減少が続いており、約9。入院者数と重症者数も減少している。新規感染者に占める60代以上の割合は15%、入院者では34%、重症者では40%。8月以降、入院者や重症者に占める60代以上の割合が増加傾向にあることに注意。埼玉、千葉、神奈川でも、新規感染者数は減少が続いており、それぞれ、約8、7、7。病床、重症病床の使用率は減少が続いている。夜間滞留人口は、宣言解除後、首都圏全体で増加が顕著に現れており、新規感染者数の動向に注視が必要。

沖縄

新規感染者数は約20と全国で最も高い水準だが、今週先週比が0.45で、減少が続く。病床、重症病床の使用率は減少が続いており、いずれも1割台の水準。自宅療養者・療養等調整中数も減少が続き、約37。

関西圏

大阪では、新規感染者数は減少が続いており、約17。入院者数と重症者数は減少が続いており、病床使用率は2割台の水準。京都、兵庫でも、新規感染者数は減少が続き、それぞれ約8、10。夜間滞留人口は、大阪、兵庫で増加。特に、宣言解除後の増加が顕著に現れており、新規感染者数の動向に注視が必要。

愛知

新規感染者数の減少が続いており、約8。入院者数も減少が続いており、病床使用率は1割台の水準。夜間滞留人口は、増加が続いており、新規感染者数の動向に注視が必要。

北海道

新規感染者数は減少が続き、約3(札幌市約5)。入院者数も減少が続いており、重症病床の使用率は1割を切る水準。夜間滞留人口は、宣言解除前後から増加。特に、解除後の増加が顕著に現れており、新規感染者数の動向に注視が必要。

福岡

新規感染者数は減少が続き、約5。入院者数も減少が続いており、重症病床使用率は1割台の水準。夜間滞留人口は、小幅な増加。

今後の見通しと必要な対策

  • 10月1日をもって緊急事態措置やまん延防止等重点措置がすべて解除された。これは、これまで市民や事業者の感染対策への協力、夜間滞留人口の減少、ワクチン接種率の向上、医療機関や高齢者施設のクラスター感染の減少などにより、全国的に感染者数の急速な減少が続いたことで、療養者数や重症者数も着実に減少し、医療提供体制・公衆衛生体制への負荷の低減が現れた成果である。
  • 今後もワクチン接種が更に進むことによる効果が期待される一方、大都市圏を中心になお多くの重症者が療養中であることに注視が必要であり、また、感染者数の減少に伴う安心感や措置の全面解除による制限の緩和により接触機会が増えることで、新規感染者数のリバウンドにつながる懸念もある。このため、基本的な感染対策を徹底してできるだけ感染者数の減少を継続させるとともに、新規感染者数のリバウンドが起こらないよう、引き続き、市民や事業者の方々にご協力いただくことが必要。
  • 引き続き、ワクチン接種を進めることが求められるが、それに伴い疫学像や感染者の病態像は変化しつつあり、今後の感染再拡大に備え、それに適合した医療提供体制・公衆衛生体制の強化を進めることが求められる。その際、ワクチン接種がさらに進むことによる感染拡大の抑制・重症化予防が期待される一方、ワクチンの効果の減弱によるブレイクスルー感染の増加も想定されるため、ワクチン接種者であっても症状が疑われる場合には引き続き検査を行うことが求められる。また、今後の感染拡大時においては、感染者に占める高齢者の割合が再び高くなる可能性があるため、年齢別の患者数の動向について、引き続き注視していくことが必要。
★基本的な感染対策の徹底

感染拡大の防止の基本は、個々人が、マスクの正しい着用、手指衛生、ゼロ密(1つの密でも避ける)や換気といった基本的な感染対策を徹底することであり、少しでも体調が悪ければ検査・受診を行うこと。また、飲食の際は、少人数、短時間とし、飲食時以外はマスクを着用すること。さらに、改定された基本的対処方針を踏まえ、国や自治体においては、外出時には、混雑している場所や時間を避けて少人数で行動することや、企業におけるテレワーク等の推進状況を踏まえた柔軟な働き方への対応をとることについて、呼びかけを行うこと。

★今後の感染再拡大に備えた医療提供体制・公衆衛生体制の強化

9月28日に取りまとめられた「新型コロナウイルス感染症に関する今後の取組」に基づき、今回の感染拡大における各地域の感染状況と同様の規模やスピードでの感染拡大が今後も生じ得ることを前提に、臨時の医療施設・入院待機施設の整備、自宅・宿泊療養の体制強化、中和抗体薬を始めとした治療薬を入院・外来・往診などで投与できる体制の拡大、医療人材確保の仕組みの構築や検査体制の確保などについて、早急に対策を進めること。また、自治体においては、ワクチン接種を積極的に進めること。

 

感染状況分析・評価グラフ等 

Copyright 1998 National Institute of Infectious Diseases, Japan

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