掲載日:2021年10月15日

第55回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(令和3年10月13日、厚生労働省)の報告による、我が国における新型コロナウイルス感染症の状況等についてお知らせいたします(第55回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード 資料1)。

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感染状況について

全国の新規感染者数(報告日別)は減少が継続し、直近の1週間では10万人あたり約4となっており、今回のみならず前回の感染拡大前の水準をも下回っている。また、全ての都道府県で10万人あたり約10以下となった。

新規感染者数の減少に伴い、療養者数、重症者数や死亡者数も減少が続いているが、重症者数と死亡者数は今回の感染拡大前の水準以下に達していない。

また、緊急事態措置やまん延防止等重点措置の解除後、多くの地域で夜間滞留人口の増加が続いており、新規感染者数の今後の動向には注意が必要。

実効再生産数:
全国的には、直近(9/26時点)で0.63と1を下回る水準が続き、首都圏では0.63、関西圏では0.64となっている。

(注)死亡者数は、各自治体が公表している数を集計したもの。公表日ベース。

今後の見通しと必要な対策

  • これまでの市民や事業者の感染対策への協力、夜間滞留人口の減少、ワクチン接種率の向上、医療機関や高齢者施設のクラスター感染の減少などにより、全国の実効再生産数は、8月下旬以降、1か月以上にわたって約0.6~0.9の間を維持しており、緊急事態措置やまん延防止等重点措置がすべて解除された後も、新規感染者数の減少が継続している。
  • 一方、緊急事態措置等の解除後、夜間の滞留人口の増加が顕著に現れており、一部の地域では実効再生産数が上昇する時期もあり、感染者数の減少速度鈍化や下げ止まりが懸念される。ワクチン接種が更に進むことによる効果が期待されるが、今後の感染再拡大を見据え、現在の感染状況が改善している状態を少しでも長く維持し、もう一段感染者数を落とすことが重要。
  • このため、マスクの正しい着用、手指衛生、ゼロ密(1つの密でも避ける)や換気といった基本的な感染対策の徹底について、引き続き、市民や事業者の方々にご協力いただくことが必要。また、飲食の際は、少人数、短時間とし、飲食時以外はマスクを着用することが求められる。さらに、改定された基本的対処方針を踏まえ、国や自治体においては、外出時には混雑している場所や時間を避けて少人数で行動するよう周知を行うことや、企業におけるテレワーク等の推進状況を踏まえた柔軟な働き方の実施に向けて呼びかけを行うことが必要。なお、今回の急速な減少の要因とその寄与度などについては、今後の感染再拡大に備えるためにも更なる分析が必要であり、引き続き、アドバイザリーボードとして検討を進めていく。
  • 引き続き、若年層などワクチン接種が十分に進んでいないグループに対する接種の促進を着実に進めるとともに、今後の感染再拡大に備えた医療提供体制・公衆衛生体制の強化を進めていくことが必要。その際、ワクチン接種がさらに進むことによる感染拡大の抑制・重症化予防が期待される一方、ワクチンの効果の減弱によるブレイクスルー感染の増加も想定されるため、ワクチン接種者であっても症状が疑われる場合等には引き続き受診・検査を行うことが求められる。なお、家庭等において体調が気になる場合等におけるセルフチェックの手段として、抗原検査キットも利用可能となっている。

 

感染状況分析・評価グラフ等 

Copyright 1998 National Institute of Infectious Diseases, Japan