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国内で報告された新型コロナウイルス感染症確定例12例の記述疫学(2020年2月3日現在)

(速報掲載日 2020/2/10) (IASR Vol. 41 p48-49: 2020年3月号)

2020年1月3日に、中国湖北省武漢市において原因不明の重症肺炎の集積が報告された。これをうけて日本では、1月6日より、疑似症サーベイランス(感染症法第14条第1項に規定する厚生労働省令で定める疑似症)の枠組みの中で、武漢市に関連した肺炎の患者を探知することになった。なお、2月1日に、新型コロナウイルス感染症は指定感染症となった。指定感染症となる前に使用していた症例定義については、「中国湖 北省武漢市で報告されている新型コロナ関連肺炎に対する対応と院内感染対策」を参照のこと 〔新型コロナウイルス(2019-nCoV)関連情報ページ:https://www.niid.go.jp/niid/ja/diseases/ka/corona-virus/2019-ncov.html〕。

本稿では、指定感染症へと届出方式が変わった 2月1日より以前に、疑似症サーベイランスの枠組みで探知された確定例について、厚生労働省が関係自治体等から収集した情報(2月3日現在)をもとに記述する。今後、一部の情報については、修正、もしくは更新がなされる可能性がある。

なお、武漢市からのチャーター便により帰国した邦人において1月31日までに探知された8例(患者3例、無症状病原体保有者5名)は今回のまとめには含まれない。

2020年1月15日~1月31日の間に、新型コロナウイルスの遺伝子が検出された確定例は12例であった(2020年2月3日現在)。遺伝子検査は、国立感染症研究所もしくは管轄自治体の地方衛生研究所において実施された。

症例の年齢分布は20代から60代で、20代2例、30代3例、40代5例、50代1例、60代1例、性別は男性6例、女性6例であった。

症例は1月3日から1月26日に発症していた()。

症例の居住地は、中国(武漢市)5例、中国(武漢市以外の湖北省)1例、神奈川県、奈良県、大阪府、三重県、京都府、千葉県がそれぞれ1例であった。

12例中9例は武漢市への渡航歴または滞在歴があったが、3例は中国への渡航歴がなかったことから、国内でのヒト-ヒト感染の可能性が高いと考えられる。これら 渡航歴のない3例のうち2例は武漢市からの旅行者と業務上接触歴があり、残る1例は武漢市以外の中国からの旅行者と業務上接触歴があった。

確定例12例の検査適応となった時点での症状について、情報が得られている範囲(2月3日12時現在) では、発熱11例(92%)、肺炎12例(100%)、咳8例(67%)、関節痛2例(17%)、咽頭痛2例(17%)であった。また、2月3日12時現在、12例全例が軽快(傾向)または症状が安定している。初発例については1月24日に濃厚接触者の健康観察が終了となっている。

国立感染症研究所

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