国立感染症研究所

カリフォルニアにおける麻しん、2014年1月1日~4月18日―米国

IASR-logo

カリフォルニアにおける麻しん、2014年1月1日~4月18日―米国

(IASR Vol. 35 p. 184: 2014年7月号)

麻しんは感染性の高い急性のウイルス疾患で、重篤な合併症や死を招きうる。合併症のない急性の麻しんに罹患した患者であっても感染から数年後に神経変性疾患や亜急性硬化性全脳炎を発症するリスクがわずかにある。麻しんは米国では2000年に排除されたと宣言された(12カ月以上の継続的な感染が阻止されることと定義されている)。しかしながら、麻しんの輸入症例や国内での小規模な感染は発生し続けている。2014年1月1日~4月18日の間にかけて、カリフォルニア州では58例の麻しんの確定症例の報告があり、1995年以降の同時期と比較すると最多の報告数であった。患者の年齢は5か月~60歳におよび、3例(5%)は12か月未満、6例(10%)は1~4歳、17例(29%)は5~19歳、そして32例(55%)は20歳以上であった。4月18日現在、12例の入院があり、死亡例は報告されていない。2000~2013年の期間で、カリフォルニアにおける麻しんの年間報告症例数の中央値は9例であった(範囲:4~40例)。

58症例のうち、54例(93%)は輸入関連と分類された。内訳は、13例の輸入例、13例の疫学的に輸入と関連づけられた症例、18例のウイルス学的に最近輸入されたと予想される症例、そしてそれら18例に関連付けられる10例の症例である。13例の輸入例は、フィリピン(8例)、インド(2例)、シンガポール(1例)、ベトナム(1例)、西ヨーロッパ(1例)から帰国した米国在住者である。対照的に、2013年にはカリフォルニアで8例の麻しん輸入症例が報告されたが、いずれもフィリピン由来ではなかった。58例中47例は12例の麻しんのクラスター(同時期あるいは同じ場所で起こった2例以上の症例)と関連づけられ、それらは9例のアウトブレイク(同時期あるいは同じ場所で起こった3例以上の症例)を含んでいた。11例の感染は医療施設で起き、11例中6例は医療従事者であった。そのほかの感染が起こった環境は家庭や教会のデイケアセンターや航空機、学校などであった。

58例中52例は、検査診断により確定された(44例はPCR、8例はIgM抗体による)。そして6例は検査診断例に疫学的な関連があることによって確定された。同定された遺伝子型は、D8(7例)とフィリピンで流行しているB3遺伝子型(32例)であった。遺伝子型D8の7例のうち5例は海外旅行をしていたと報告されている。残る2例は疫学的に輸入症例と関連付けられた。感染源が不明な4例のうち2例の遺伝子解析は実行中である。

58例のうちほとんどがワクチン未接種〔25(43%)〕あるいは接種歴の記録がなかった〔18(31%)〕。未接種例25例のうち、19(76%)は信条上の理由により接種を拒否しており、3例(12%)は年齢が12か月以下で定期接種の年齢に達しておらず、3例(12%)は未接種の原因が判明していない。2例の小児と9例の成人を含む11例(19%)の患者は、麻しん・流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)・風しんの3種混合(MMR)ワクチンの2回以上の有効な接種をされているという記録があった。3例の医療従事者は曝露前から免疫を有していることが血清学的に示されているという記載があった。そしてもう1例は発症前の接触者調査において、免疫を有することが血清学的に示されていることが明らかになった。

旅行中に曝露された人は全員、旅行前にワクチンを受けられる年齢に達していた(麻しんの流行地域に渡航する乳児は月齢6~11か月の間に接種できる)。未接種渡航者の6例中5例は信条上の理由で接種を行っていなかった。そのうちの1例は旅行の期間、妊娠中であったためMMRワクチン接種適応でなかった。6例の成人はワクチン接種記録がなく、1例は2回の有効な接種をされていた。

米国では2014年1月1日~4月18日までの期間において、129例の麻しんの症例が報告されたが、これは同時期で比較すると1996年以降最多であった。34例の輸入症例のうち、17例はフィリピンへあるいはフィリピンからの渡航者であった。フィリピンは麻しんの爆発的流行を経験しており、1月1日~2月28日の間に69例の死亡例を含む約20,000例の確定症例あるいは疑い症例が報告された。このアウトブレイクによる米国への輸入例の増加とそれに続いた国内感染は、麻しん流行地域への渡航者に年齢に応じた適切な接種を確実に行うこと、ならびに国レベルと地域レベルにおいてともに高い接種率を維持することの重要性を明らかにした。

1956年以後に生まれたすべての米国在住者は確実にMMRワクチンを接種する、あるいは血清学的に抗体を有していることを確認するべきである。1956年以後に生まれ、血清学的に抗体を有していない人に対しては、北アメリカと南アメリカの外へ渡航する場合、ワクチンの推奨は以下の通りである。6~11か月の乳児にはMMRワクチン1回接種、12か月以上の小児と成人には最低28日以上間隔を空けて2回接種をすることである。麻しんが疑われる患者の迅速な同定と適切な院内感染予防対策によって医療機関内での感染を減らすことができるだろう。

 

(CDC, MMWR, 63(16): 362-363, 2014)         

(担当:感染研・大桃すみれ、有馬雄三)

 

最終更新日 2016年7月01日(金曜)15:41

参照数: 4174

Copyright 1998 National Institute of Infectious Diseases, Japan

Top Desktop version