国立感染症研究所

IASR 月報 外国

IASR-logo

複数州が関係する食品由来感染症アウトブレイク、2010~2014年―米国

(IASR Vol. 36 p. 254: 2015年12月号)

毎年数百万人の米国人が、食品媒介性の病原体により病気になる。多くの食品由来感染症のアウトブレイクは地域限定的である。しかし、多くの食品が広範囲かつ迅速に供給されようになり、また、検出方法が改善されたため、複数州で発生し、時に全国規模であるアウトブレイクはより認識されるようになり、その頻度は増えている。本報告においては、米国疾病管理予防センター(CDC)による食品由来感染症アウトブレイクのサーベイランスシステムのデータから、2010~2014年の米国における食品由来感染症の状況を分析する。

2010~2014年の間、120事例の複数州が関係する食品由来感染症アウトブレイクがCDCに報告された。これらのアウトブレイクは、すべての食品由来感染症報告の3%(4,163事例中120事例)を占め、患者数11%(71,747例中7,929例)、入院例の34%(4,247例中1,460例)、死亡例56%(118例中66例)を占めた。主な病原体は、サルモネラ属(63事例)、志賀毒素産生大腸菌(34事例)とリステリア菌(12事例)であった。また、多く関係する食品は、果物(17事例)、生の葉野菜 (15事例)、牛肉(13事例)、スプラウト野菜(10事例)、種つき野菜(seeded vegetables)(9事例)であった。原因食品を確認するためのさかのぼり調査は、87事例に対して行われ、うち55事例では製品の回収(リコール)に至った。輸入食品による複数の州が関係するアウトブレイクは18事例であった。

複数州で発生するアウトブレイクは、州をまたがない場合と比べて、入院や死亡の割合が高い。その理由の一つとしては、単独州で発生するアウトブレイクの第一の原因がノロウイルスであることに対して、複数州の場合の起因病原体が前述のものであることによる。

 食品業界、公衆衛生部門、関係機関が協働することにより、複数の州が関係するアウトブレイクとの関連がある汚染食品を同定し追跡する、より効果的方法を開発し実用化することが可能と考えられる。アウトブレイク調査により得られるこれらの情報によって食品の安全に関する手技や規則の改善に役立てることができ、将来のアウトブレイク発生防止につなげられる可能性がある。

特に食品業界は、食品安全を会社の中心的な文化とすることにより、あるいは食品の新しい安全規則と標準を満たすか、上回ることにより、アウトブレイクを効果的に防いだり規模を抑えることができる。各会社は、原材料の供給元から提供先までの食品の迅速な追跡を可能にするための記録を保持することにより、食品安全についてベストプラクティス(最善慣行)を実行している供給元だけを利用することができる。一つの方法として、小売店が顧客に発行するポイントカードなどは、病気を引き起こした食品を確認したり、特定の製品を買った顧客へのより迅速な連絡を可能にできる。さらなる情報については以下URLを参照され(http://www.cdc.gov/vitalsigns)。 

[CDC, MMWR 64(43): 1221-1225, 2015]    
(抄訳担当:感染研・栗田順子、有馬雄三、砂川富正)

 

 

Copyright 1998 National Institute of Infectious Diseases, Japan

Top Desktop version