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薬剤耐性HIVの変遷

(IASR Vol. 39 p153-155: 2018年9月号)

はじめに

1981年にアメリカの西海岸でカリニ肺炎の集団発生として報告されてから38年経過したが1), 人類とHIV感染症との戦いはいまだ終わりを見ない。薬剤の驚異的な進歩により, とりあえず「HIV感染=死」ではなくなったし, 以前の薬に比べると格段に耐性ウイルスの出現が少なくなったのも事実である。これは, 副作用が少なく, 効果が強力で, 錠数が少ない(基本的に1日1回1錠)薬剤の開発により成し遂げられたものである。しかし, いまだに服薬の継続が絶対条件としてHIV感染症治療から外せない枷となっている。つまり, 薬剤耐性ウイルスの出現は常に現在の薬剤の有効性に脅威を与える「影」としてつきまとい続けているのである。

Copyright 1998 National Institute of Infectious Diseases, Japan