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海外の妊婦への百日咳含有ワクチン接種に関する情報

(IASR Vol. 40 p14-15: 2019年1月号)

百日咳は6か月未満の乳児の感染が呼吸困難による重症化を来すことや, 肺炎や肺高血圧症などによる死亡の発生が報告される疾患で公衆衛生上の対策が必要な疾患である1)。米国からの報告によると, 乳児における百日咳の感染源は母が32%で最も多く, 次いで兄弟, 姉妹 (20%), 父 (15%) であることが報告されている2)。乳幼児への対策として, 妊婦, 産褥期の女性, 家族 (父母, 同胞, 祖父母) などに百日咳含有ワクチンの追加接種を実施している国がある (コクーン戦略cocoon strategy: 乳児を守るために周囲の人にワクチン接種をする戦略と呼ばれている)。特に妊婦への百日咳含有ワクチン接種は妊婦本人が百日咳を予防し乳児への感染源とならないようにするとともに, 適切な時期の妊婦への接種が胎児への移行抗体に反映することが報告されたため3), 妊婦へのワクチン接種を実施する国が増えている。また, アウトブレイク発生後に乳児の予防を目的に妊婦へのワクチン接種が推奨されている。そこで, 本報は海外における妊婦の百日咳含有ワクチン接種に関する実施状況についてまとめた。

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