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日本脳炎に関する最近の状況

(IASR Vol. 43 p135-137: 2022年6月号)

 

 日本脳炎は, コガタアカイエカ等の蚊の刺咬によりフラビウイルス属の日本脳炎ウイルス(JEV)に感染することにより引き起こされる重篤な中枢神経系疾患である。ただし, 本ウイルスに感染してもほとんどの人は不顕性感染に終わり, 発症するのは100-1,000人に1人程度と推定されている。一方, 日本脳炎を発症した場合, 致命率は20-30%に達し, 回復したとしても約半数の患者は後遺症が残るとされる。1970年以前には, 年間1,000人を超える患者が発生したこともあったが, その後, ワクチンの品質, 生産量の向上と定期接種化, 媒介蚊の減少や居住環境の変化等により, 患者数は急速に低下した。近年国内の年間症例届出数は, ほぼ10例以下で推移している。患者は主に西日本で発生しているが, 直近10年間では, 千葉県, 茨城県, 山梨県および静岡県でも患者が確認されている1)

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