腸管出血性大腸菌(EHEC)感染症の重症例である溶血性尿毒症症候群(hemolytic uremic syndrome: HUS)は国内で年間50-100例報告されている。このうち, EHECが分離されないHUS症例は全体の30-40%であり, これらの症例では患者便中のShiga毒素(Stx)の検出, または患者血清中の大腸菌〔主としてO血清群(O群)O157, O26, O111, O121, O145, O165, O103等の国内でHUS症例から分離されるEHECの98%を占めるO群〕に対する凝集抗体陽性でEHECによるHUS症例の確定診断とされている。