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2022/23シーズンのインフルエンザ分離株の解析

(IASR Vol. 44 p171-176: 2023年11月号)
 
1.流行の概要

2022/23インフルエンザシーズン(2022年9月~2023年8月)は, 世界的に, 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の流行前のような規模のインフルエンザの流行となった。流行の様相は各国で様々で, 例えば, 北米は流行の立ち上がりが例年より早く, 2022年12月中にピークに達しその後減少した。一方, 欧州では流行の立ち上がりは例年のようであったが, 2023年5月近くまで流行が確認された。中国では, 2月下旬から流行が大きくなり, 3月中旬にピークに達し, その後減少した。南半球では, 南アメリカ地域で, 例年は流行がみられない9~12月にかけて流行がみられ, その後は他の南半球の地域と同様に3月以降から7月にかけて流行が確認された。ウイルスの型としては, A型・B型ウイルスともに検出され, A型ウイルスの検出数がB型ウイルスのそれよりも多かった。A型ウイルスは, 前半はA(H3N2)が, 後半はA(H1N1)pdm09がより多く検出された。B型ウイルスはすべてがVictoria系統であった。日本においては, SARS-CoV-2流行前の規模より小さかったが, 2019/20シーズン以来の3シーズンぶりの流行となった。A(H1N1)pdm09, A(H3N2), B/Victoria系統のすべてが検出されたが, A(H3N2)が流行の主流(約94%)であった。

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