(IASR Vol. 41 p169-170: 2020年9月号)
キャップ依存性エンドヌクレアーゼ阻害薬バロキサビル マルボキシル(ゾフルーザ, 以下バロキサビル)は, 日本, 米国をはじめ複数の国・地域でインフルエンザの治療薬として承認されている。バロキサビルの臨床試験では, バロキサビル投与後の患者から, バロキサビル感受性低下を引き起こす耐性変異(PA I38T/M/F)を持つインフルエンザウイルスが検出され, A(H3N2)亜型ウイルスに感染した6歳未満の小児では, バロキサビル耐性PA I38変異ウイルスの検出率は52.2%と報告されている1)。また, PA I38変異が検出された患者では, 感受性ウイルスが検出された患者と比べて, ウイルス排出期間の延長ならびにウイルス力価の再上昇が認められ, 罹病期間が延長することが報告されている2-5)。