国立感染症研究所

我が国における超過死亡数および過少死亡数 (2020年12月までの死因別のデータ分析)

掲載日:2021年8月6日

要約

2012年からの人口動態統計データを用いて、新型コロナ流行期以降(2020年1月~)における死因別の超過および過少死亡数(〜2020年12月)を、週別、都道府県別に算出しました。

  • ① 全ての死因のうち、新型コロナウイルス感染症による死亡を除いた死亡
  • ② 呼吸器系の疾患による死亡  
  • ③ 循環器系の疾患による死亡  
  • ④ 悪性新生物(がん)による死亡
  • ⑤ 老衰による死亡
  • ⑥ 自殺

算出した値は全て専用のダッシュボードで公開しておりますのでご参照ください。

死因別のデータ分析

  • 2020年1月以降、①〜⑤それぞれにおいて超過死亡数が認められた週はありましたが、2020年12月までの積算値は、過去と同程度でした。
  • ⑥自殺については、例年以上の超過死亡数が認められ、特に7–9月ごろからその傾向が顕著に見られています。
  • また、③循環器系では、2020年12月中の超過死亡数は、22都府県において、例年の同時期より多い結果でしたが、③循環器系は、コロナ流行以前の冬期においても超過死亡数が増加する年もあり、その原因については、翌月以降のデータの解析やその他の疫学解析が必要となります。なお、同時期の②呼吸器系については、③循環器系と比較して、超過死亡数が増加している傾向は見られませんでした。
  • ①新型コロナウイルス感染症を除いた死亡については2020年中、例年以上の過少死亡数が認められ、新型コロナウイルス対策等で例年以上の感染症対策や健康管理が行われている状況の中、それらの健康への正の影響が考えられます(ただし、季節性インフルエンザの流行規模や気候要因等の偶然的要因による死亡数減少も含まれる可能性には注意が必要です)。
  • ④〜⑥の死因については、2020年は過去3年間と同程度の過少死亡数であったのに対し、②呼吸器系に関しては、例年以上の過少死亡数が認められました。特に、2020年1–3月においてその傾向が顕著でした。また、同様の傾向は③循環器系の疾患においても見られました。

過去の報告

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