(IDWR 2002年第33号)

 急性出血性結膜炎(AHC)は、主としてエンテロウイルス70 (EV70)とコクサッキーウイルスA24変異株(CA24v)の二つのエンテロウイルスによってひきおこされる、激しい出血症状を伴う結膜炎 である。両ウイルスともヒトからヒトへ直接接触伝播する。EV70は1971年、当時国立予防衛生研究所ウイルス中央検査部長であった甲野禮作らによって 発見されたウイルスで、北海道で分離された株が標準株になっている。CA24vはEV70とほぼ同時期の1970年に、東南アジアで流行していたAHC 患者から分離されたウイルスである。同じ病原性を持ったエンテロウイルスが時期を同 じくしてヒト社会に出現した理由は、今もって謎である。AHC と診断された患者からは主にEV70 やCA24vが分離されるが、アデノウイルスなどのその他のウイルスが分離されることもある。

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