(IDWR 2003年第11号)

 感染性胃腸炎(Infectious gastroenteritis )という診断名は、多種多様の原因によるものを包含する症候群であり、旧感染症発生動向調査ではウイルスまたは細菌による感染性胃腸炎を一括したものであ るとの記載があり、特に病原体分離により実態を明らかにすることが望まれるとの但し書きが付いている。また、旧調査では乳幼児、特に6 カ月から18 カ月くらいの月齢のものを、特にロタウイルスによるものをサーベイする目的で乳児嘔吐下痢症として別の枠で発生動向調査を行っていたが、このなかには、小 型球形ウイルス(small round structured virus ;SRSV)によるものも多数包含されており、また感染性胃腸炎の範疇でもロタウイルス性のものが多く報告されている
という事実から、感染症法施行後、これらが一括されて調査対象となっている。すなわち、臨床上の診断名よりはサーベイランス上の症候群名という色彩が強い。

Copyright 1998 National Institute of Infectious Diseases, Japan