IASR-logo

おたふくかぜワクチンについて

(IASR Vol. 37 p.201-202: 2016年10月号)

おたふくかぜについて

おたふくかぜ(流行性耳下腺炎, ムンプス)はムンプスウイルスによる感染症であり, 基本的な感染経路は唾液を介した飛沫によるヒト-ヒト間の感染である。耳下腺腫脹の6日前~9日後までの間に唾液中へのウイルスの排泄があり, 感染源となりうる。感染から発症までの潜伏期間は12~24日で, 主に発熱と耳下腺の腫脹と疼痛をもって発症する。感染力は比較的強く(基本再生産数11~14), 死亡することは稀であるが, 合併症として無菌性髄膜炎の頻度が高い(1~10%)。その他の合併症として, 難聴や膵炎, 精巣炎, 卵巣炎等がある。おたふくかぜには特異的な治療法はなく, 対症療法が行われ, 無菌性髄膜炎や精巣炎等の合併症を併発した場合には, 入院加療を行う場合が多い。また, おたふくかぜには不顕性感染があり, 発症者の隔離では流行を阻止することができない。

Copyright 1998 National Institute of Infectious Diseases, Japan