IASR-logo

2016年に北海道で発生したダニ媒介性脳炎症例

(IASR Vol. 38 p.126: 2017年6月号)

ダニ媒介性脳炎ウイルス(TBEV)は, フラビウイルス科フラビウイルス属に属するウイルスで, 自然界ではマダニによって媒介される。TBEVはマダニの中で, 経齢間伝達および経卵巣伝達することが知られており, 即ちマダニの中で世代を超えて長期間ウイルスが維持されることが可能である。野鼠や鹿等の野生動物とマダニの間で感染環が維持されているが, 感染マダニの吸血により家畜動物やヒトを含めた幅広い動物種に感染する。一般に家畜動物では感染しても無症状であるが, 生乳を介したヒトへの感染がヨーロッパで報告されている。またヒトが感染した場合, 多くは無症状であるが, 発症した場合, 重篤化して致命率の高い脳炎を引き起こす可能性が高く, 回復後も後遺症が残ることが多い。

Copyright 1998 National Institute of Infectious Diseases, Japan