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日本国内HIV/AIDS動向Update

(IASR Vol. 38 p.179-180: 2017年9月号)

HIV感染症は感染症法に基づき全数把握が義務付けられている5類感染症である。国内で診断されたHIV感染者数はエイズ発生動向調査を通して継続的に把握されている。報告の際は初診時の状態により分類され, エイズ発症前に診断された「HIV感染者」, エイズ発症後に診断された「エイズ患者」に分類され報告される。このうち, 既にHIV感染者として報告されている症例がエイズを発症した場合(病変エイズ)は報告の対象とならない。1984年に調査が開始されて以来, 年間新規報告数は増加傾向が続き, 2007年に1,500件を超えた。2007年以降から昨年2016年までの約10年間, 新規報告数は約1,500件前後を維持する高止まりの傾向が続いている。さらに新規報告1,500件のうち約500件がエイズ患者として報告されている。HIV感染症は感染からエイズ発症までに平均5年~10年の無症候期があることを考えると, 新規診断者の約3割が5年以上前にHIVに感染していた可能性が高く, 2016年末時点の日本国内の実際のHIV感染者数は総診断数を上回ることが予測される。

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