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日本における薬剤耐性HIVの動向Update

(IASR Vol. 38 p.181-182: 2017年9月号)

HIVの治療は多剤併用療法が確立され20年が経過したが, 確立された当初と比べ薬剤の選択肢が広がり, 薬剤の質も改善され, その進歩は目覚ましい。特に「服薬回数の減少(once-daily single tablet regimen)」, 「耐性を獲得しにくい(high genetic barrier)」, 「副作用の軽減」といった質的改善により, 長期治療に適した新規抗HIV薬が開発された。ヨーロッパとアメリカで行われた大規模コホート研究によれば, 1996~1999年に治療開始した群と2008~2010年の群を比較したところ, HIV感染者における平均寿命は女性で9年, 男性で11年改善され, 一般の方と平均寿命は変わらないと報告された1)。これには, 先に述べた新規抗HIV薬の登場が大きく貢献している。現在のHIVガイドラインでは, 質の高い抗HIV薬がキードラッグとして推奨され, 薬剤耐性ウイルス(acquired drug resistance)による難治症例は少なくなっている。

Copyright 1998 National Institute of Infectious Diseases, Japan