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アジア諸国における手足口病(エンテロウイルスA71)ワクチン開発と導入

(IASR Vol. 38 p.203-204: 2017年10月号)

近年の東アジア地域における多数の死亡例を伴う手足口病重症例の大規模流行を受け, アジア諸国を中心に, 発症あるいは重症化を予防するためのエンテロウイルス(手足口病)ワクチン開発が進められている1)。ペプチド, 各種組換え蛋白質, virus-like particle等, 様々なアプローチにより合成・発現させたエンテロウイルス・カプシド蛋白質を抗原として利用するワクチンが検討されているが, 現在, 臨床開発が進められているエンテロウイルスワクチンの多くは, 培養細胞で増殖したエンテロウイルス粒子をホルマリン処理することにより, ウイルス粒子の抗原性を保ったまま感染性を完全に消失させた不活化ワクチンで, 複数回の接種により血中中和抗体を誘導する。血中中和抗体の効果的な誘導により, ウイルス血症制御を介した発症・重症化予防効果が期待できる。

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