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2017/18シーズンのインフルエンザ脳症について

(IASR Vol. 39 p191: 2018年11月号)

はじめに

インフルエンザの重篤な合併症の一つに脳症がある。日本では感染症法に基づく感染症発生動向調査において急性脳炎(脳症を含む)は5類感染症全数把握疾患に指定されている。届出基準は意識障害を伴って死亡した者, または意識障害を伴って24時間以上入院した者のうち, 1)38℃以上の高熱, 2)何らかの中枢神経症状, 3)先行感染症状のうち少なくとも1つの症状を呈した場合で, 熱性痙攣, 代謝疾患, 脳血管障害, 脳腫瘍, 外傷など, 明らかに感染性とは異なるものは除外するとされる。すなわち, 届出基準は臨床診断に基づくものであり検査診断は求められていない。原因病原体が判明している場合は, 病型欄に記載される。本稿では急性脳炎として報告された症例のうち病型欄にインフルエンザウイルスと記載された症例を集計し, 2017/18シーズンの報告例と過去2シーズンの報告例の特徴を比較した。

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