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改正感染症法施行以後のインフルエンザ病原体サーベイランス:インフルエンザウイルス陽性例・陰性例の動向とその情報の有用性

(IASR Vol. 39 p192-193: 2018年11月号)

2016年4月からの改正感染症法施行により, 感染症に関する情報の収集体制が強化され, 特に季節性インフルエンザウイルスに関する病原体サーベイランスのあり方については, 検体の指定提出機関制度(インフルエンザ病原体定点)の創設により, 都道府県等への検体提出, 検査体制, 検査結果等の国への報告基準が省令等で定められた(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000115688.htmlhttps://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/0000143303.pdf)。具体的には, 指定提出機関ごとの検体等の提出基準として, 季節性インフルエンザの流行期は毎週1回, 非流行期は毎月1回の提出が目安となった。また, インフルエンザ流行期・非流行期を問わず, インフルエンザ様疾患(ILI)患者から検体の提出が可能となった。理論的に, 継続して, 検査対象の母集団の症状をILIとして一定に取り扱った場合には, 提出された検査陽性例と検査陰性例の絶対数と相対的な関係を把握することが可能になった。本稿では, 改正感染症法施行以後に焦点をあて, 検査陰性とILIの情報も考慮し, 全国の地方衛生研究所・保健所から感染症サーベイランスシステム(NESID)の病原体検出情報システムに報告されたインフルエンザ病原体サーベイランスデータを還元する。

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