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新型コロナウイルスVOC-202012/01感染者の陰性確認完了までに要した日数とCt値の推移に関する考察

(速報掲載日 2021/4/2) (IASR Vol. 42 p101-102: 2021年5月号)
 

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)感染者の退院基準については、令和2(2020)年5月29日付事務連絡1)が通達されるまでは、症状消失後2回連続の核酸増幅法による陰性の確認が必要であったが、上記の事務連絡以後は発症日からの日数経過による退院および療養解除が認められている2)。一方で、英国や南アフリカ、ブラジル等で流行している、Spikeタンパク質のN501Y変異を持つ、「懸念される変異株(variants of concern: VOC)」については、令和2年12月25日付事務連絡において通常とは異なる退院基準が設定され、2回連続の核酸増幅法による陰性確認が必要となった3)。この陰性確認の要件を満たすためには、現在の通常のCOVID-19患者の療養解除基準である発症日から10日という日数を超えるケースが多く、入院病床の圧迫の一因となっている。本稿では神戸市においてPCR検査により2回の陰性が確認された90名のVOC-202012/01(英国型変異株)感染患者について、発症日から陰性確認完了に要した日数とCt値の推移を解析したものを報告する。なお、すべての検査は唾液検体からRNAを抽出し、病原体検出マニュアルに収載されているN2領域をターゲットとしたリアルタイムPCR法で実施した。機器はABI StepOne Plusを使用し、Ct値はThresholdを0.2に設定して算出した。

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新型コロナウイルスSARS-CoV-2 Spikeタンパク質 E484K変異を有するB.1.1.316系統の国内流入(2021年2月2日現在)

(速報掲載日 2021/2/19)(IASR Vol. 42 p79-81: 2021年4月号)
 
(PANGO lineages での ID が B.1.1.316→ R.1 に変更となった)
 
新型コロナウイルス変異株が有するSpikeタンパク質E484K変異

 自治体の積極的疫学調査を支援すべく、SARS-CoV-2(一本鎖プラス鎖RNAウイルス、全長29.9 kb)のゲノム配列を確定してGISAID*1へ配列登録し、感染クラスターに特有な遺伝子情報およびクラスター間の共通性を解析中である。これまでに4回にわたって中間報告として国内伝播の状況を概説してきた(2020年4月27日1)、2020年8月6日2)、2020年12月11日3)、2021年1月14日4))。2020年3~4月に欧州系統(Pangolin*2系統B.1.1.114)の流入が認められたものの、第2、3波の主流はこの欧州系統から派生したB.1.1.284とB.1.1.214による国内の感染拡大であることが判明した(2021年1月14日報告4))。さらに、英国で発生した新規変異株VOC-202012/01 の流入が懸念されており、空港検疫検査のみならず、市中感染の疑いを示す事例が公表されている。

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新型コロナウイルスSARS-CoV-2ゲノム情報による分子疫学調査(2021年1月14日現在)

(速報掲載日 2021/1/29) (IASR Vol. 42 p61-64: 2021年3月号)
 
新型コロナウイルス・ゲノム疫学解析によるクラスター対策

 2019年末の中国・武漢市で初めて確認された新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)は、2020年1月に国内で初めて感染者が確認された。その後、現在まで地域的な感染クラスター(集団)とその集合体による複数回の感染ピークを生じている。自治体の積極的疫学調査を支援すべく、SARS-CoV-2(一本鎖プラス鎖RNAウイルス、全長29.9 kb)のゲノム配列を確定し、感染クラスターに特有な遺伝子情報およびクラスター間の共通性を解析している。これまでに3回にわたってゲノム情報が示す国内伝播の状況を概説してきた(2020年4月27日1)、2020年8月6日2)、2020年12月11日3))。また、日本国内4,5)、ダイヤモンド・プリセンス号の乗員乗客6)、空港検疫所の陽性検体7)より確定されたSARS-CoV-2ゲノム配列の解析については学術誌にて参照可能である。

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新宿区繁華街におけるいわゆる「接待を伴う飲食店」における新型コロナウイルス感染症の感染リスクに関する調査研究(中間報告)

(速報掲載日 2020/12/28) (IASR Vol.42 p21-22: 2021年1月号)
 
はじめに

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行ではいわゆる「接待を伴う飲食店等」(https://corona.go.jp/news/pdf/settai_insyokuten_kaisyaku_0604.pdf)における患者発生やクラスター発生を認めた(https://www.niid.go.jp/niid/ja/diseases/ka/corona-virus/2019-ncov/2487-idsc/idwr-topic/9824-idwrc-203132.html)。これらの感染の規模や従業員等が感染するリスクを知ることは, 経済的・社会的活動と流行抑制を両立させるために重要である。そこで本調査研究では, 接待を伴う飲食店(ホストクラブ)を中心にインタビューやアンケート, 店舗観察による疫学情報に加え, ウイルス検査・抗体検査による感染の情報を組み合わせ, 感染リスクが高いと思われる集団における現状を明らかにすることを目的とした。

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COVID-19レジストリデータを用いた新型コロナウイルス感染症における年齢別症例致命割合について

(速報掲載日 2020/12/28) (IASR Vol.42 p19-20: 2021年1月号)
 
はじめに

 新興感染症である新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の臨床経過・臨床像に関する情報を、可能な限り速やかに把握し、公衆衛生の現場、医療現場に直接に還元していくことは、喫緊の課題である。そこで、COVID-19に関するレジストリ研究(COVID-19 REGISTRY JAPAN:https://covid-registry.ncgm.go.jp/)は、日本国内の医療機関に入院したCOVID-19の患者情報を悉皆的に登録、データベース化し、解析することで、COVID-19の臨床像や治療薬候補の効果等に関する様々な点について明らかにすることを目的として立ち上げられた。

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バスツアー関連新型コロナウイルス感染症集団感染事例、2020年10月

(速報掲載日 2020/12/16) (IASR Vol.42 p17-19: 2021年1月号)

2020年10月中旬に行われた北海道周遊バスツアー(3泊4日)の参加者の中から、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の症例が複数確認された。当該ツアーでは、バス4台に国内各地からの参加者146人とスタッフ12人が分乗していた。旅行や乗り物に関連したCOVID-19事例の報告は少ないため、その状況と得られた課題について報告する。

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新型コロナウイルスSARS-CoV-2のゲノム分子疫学調査(2020年10月26日現在)

(速報掲載日 2020/12/11)(IASR Vol.42 p14-17: 2021年1月号)
 
新型コロナウイルス・ゲノム分子疫学解析によるクラスター対策

2019年末に中国・武漢で初めて確認された新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)は、2020年1月に国内で初めて感染者が確認された。その後、現在まで地域的な感染クラスター(集団)とその集合体である複数回の感染ピークを生じている。自治体では積極的疫学調査を実施し、クラスターの発生源の特定と濃厚接触者の追跡によって感染拡大を封じ込める対策を行ってきた。この活動を支援すべく、我々は、SARS-CoV-2(一本鎖プラス鎖RNAウイルス、全長29.9 kb)のゲノム配列を確定し、感染クラスターに特有な遺伝子情報およびクラスター間の共通性を解析している。これまでに2回にわたってゲノム情報が示す国内伝播の状況を概説してきた(2020年4月27日1)、2020年8月6日2))。また、日本国内3,4)、ダイヤモンド・プリセンス号の乗員乗客5)、空港検疫所の陽性検体6)より確定されたSARS-CoV-2ゲノム配列の解析については学術誌にて参照可能である。

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新型コロナウイルス感染症における積極的疫学調査の結果について(第2回)
(2020年10月5日時点:暫定)

(速報掲載日 2020/12/1) (IASR Vol.41 p220-221: 2020年12月号)

本報告は、厚生労働省健康局結核感染症課名にて協力依頼として発出された、感染症法第15条第1項の規定に基づいた積極的疫学調査(健感発0220第3号、令和2年2月20日;https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000598774.pdf)に基づいて集約された、各自治体・医療機関から寄せられた新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の退院患者の情報に関する、第2回目の暫定的なまとめである。本まとめは、前回6月3日時点の結果(https://www.niid.go.jp/niid/ja/diseases/ka/corona-virus/2019-ncov/2488-idsc/iasr-news/9803-487p01.html)に対して、新たに加わった情報を含めて分析したもので、10月5日時点の状況となる。なお、対象については、COVID-19として入院し、退院した者(死亡退院を含む)との定義を満たす者であって、それ以上の層別に沿って選定していないことに注意されたい。

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札幌市・小樽市における新型コロナウイルス感染症の昼カラオケ関連事例における感染リスク因子

(速報掲載日 2020/10/7) (IASR Vol. 41 p185-187: 2020年10月号)

札幌市では、2020年4月より、日中にカラオケスナックやカラオケ喫茶などでカラオケを楽しむ「昼カラ」に関連した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)クラスターが複数確認され、6月には隣接する小樽市においても確認された。今回、昼カラ関連症例のCOVID-19感染リスク要因を明らかにするため、札幌市・小樽市における昼カラ関連COVID-19症例の昼カラ利用者を対象に症例対照研究を実施した。さらに、店舗営業形態による感染リスクの違いを明らかにするため、昼カラ店舗の営業状況を調べた。

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新型コロナウイルス感染症における積極的疫学調査の結果について(第1回)
(2020年6月3日時点:暫定)

(IASR Vol. 41 p166-169: 2020年9月号)

(速報掲載日 2020/8/14)

本報告は、厚生労働省健康局結核感染症課名にて協力依頼として発出された、感染症法第15条第1項の規定に基づいた積極的疫学調査(健感発0220第3号、令和2年2月20日;https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000598774.pdf)に基づいて集約された、各自治体・医療機関から寄せられた新型コロナウイルス感染症の退院患者の情報に関する、第1回目の暫定的なまとめである。6月3日時点の状況を報告する。

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