■ Q1. 第4期の麻疹風疹混合ワクチンの接種について | ||
住民の方からの問い合わせがありましたので、お尋ねいたします。 高校3年生(平成3年8月生まれ)の男性です。1歳のときに、麻しんの予防接種(1回目)を受けました。 接種後2週間程して発熱と発疹があり病院を受診したそうです。 その際、医師からは、「予防接種が要因と考えられるはしか」との診断を受けたとのことでした。 そこで、今回の4期MRワクチンを受けていいものかどうかの意見をほしいとのことで、ご相談がありました。このようなケースの場合、接種をお勧めしてよいのでしょうか? 第4期は、3月中に受けないと対象ではなくなりますので、早めにご連絡したく、お返事をいただけると幸いです。また、予防接種が要因と考えられる「はしか」であれば麻しんをのぞく風しんワクチンの対象としていいのでしょうか?どのように、情報をお伝えしてよいか、本人・ご家族に判断材料をなるべく整理した上でお伝えできればと思います。よろしくお願いします。 (関東地方 A町 保健師) |
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■ 答え | ||
1歳のときに、麻しんの予防接種(1回目)を受け、接種後2週間程して発熱と発疹が認められたのは、はしか(麻しん)にかかったのではなく、ワクチン接種後約 2割程度に認められる臨床反応である発熱と、約1割弱に認められる発疹の可能性が高いと思われます。 医師の説明は、「予防接種が要因と考えられるはしか」ではなく、「予防接種が原因と考えられるはしかに似た発熱と発疹」が正確かと思いますが、わかりやすく上記のようにご説明をされたのではないかと想像いたします。 これは、はしか(麻しん)に自然感染した(いわゆる、かかった)のではなく、予防接種後に通常よく見られる症状の2つです。 2009年度の高校3年生は、2010年3月31日までしか、定期接種の対象ではありませんし、この期間でな ければ、予防接種法に基づく接種はできませんので、今回の第4期の機会に忘れずに、2回目の麻しん風しん混合ワクチンを受けていただきたいと思います。 どうぞよろしくお願い申し上げます。 |
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(2010/3/9 IDSC 更新) |
正解⇒デングウイルスの媒介蚊はヒトの住環境が発生母地で都市部で流行します。
正解⇒1942から1945年にかけて、神戸・大阪・広島・呉・佐世保・長崎などで約20万人に上る温帯地域最大のデング熱流行が発生した。
正解⇒デング熱を媒介する蚊は、ネッタイシマカとヒトスジシマカで、ヒトスジシマカは東北地方以南に生息し夏季には活発に活動している。
●2012年デング熱患者数(WHO西太平洋地域内)
国名 | 報告患者数 | 死者数 | As of |
オーストラリア | 1,458 | 0 | 12/31 |
カンボジア | 41,704 | 183 | 12/11 |
ラオス | 9,639 | 19 | 12/15 |
マレーシア | 21,900 | 35 | 12/29 |
フィリピン | 178,644 | 872 | 12/31 |
シンガポール | 4,602 | 0 | 12/29 |
ベトナム | 77,618 | 68 | 11/30 |
WHO西太平洋地域外 | |||
タイ | 60,618 | 58 | 11/18 |
台湾 | 1,355 | 6 | 11/24 |
サーベイランス体制は国によって異なりますので、必ずしも現在の流行状況を反映していない場合もあります。
デング熱の流行地域から帰国後、発熱・筋肉痛・関節痛などの症状がある方は、国内流行防止の点から蚊に刺されないよう病院に入院するあるいは症状が治まるまで自宅療養し戸外に出ないようにしてください。すこし熱が下がったからといって庭先に出ることはやめてください!ヒトスジシマカの活動は地域差はありますが11月頃まで続きます。
2011年 | ||||
症例数 | 渡航先 | 月 | ウイルス型 | 確認地 |
1 | フィリピン | 1 | D1 | 千葉県 |
2 | タイ | 1 | NA | 埼玉県 |
3 | インドネシア(バリ) | 1 | D1 | 福岡県 |
4 | タイ | 1 | NA | 埼玉県 |
5 | インドネシア(バリ)・ シンガポール |
1 | D1 | 東京都 |
6 | フィリピン | 1 | D1 | 東京都 |
7 | フィリピン | 1 | NA | 神奈川県 |
8 | フィリピン | 2 | D2 | 東京都 |
9 | インドネシア | 2 | NA | 滋賀県 |
10 | インドネシア(バリ) | 2 | NA | 東京都 |
11 | インドネシア(バリ) | 2 | NA | 東京都 |
12 | インドネシア(バリ) | 2 | D4 | 北海道 |
13 | インドネシア(バリ) | 3 | D1 | 兵庫県 |
14 | タイ | 3 | D3 | 大分県 |
15 | インドネシア(バリ) | 3 | NA | 東京都 |
16 | インドネシア(バリ) | 3 | NA | 東京都 |
17 | ベトナム | 3 | NA | 東京都 |
18 | マレーシア | 4 | D1 | 東京都 |
19 | インドネシア(バリ) | 4 | D4 | 大阪府 |
20 | バングラデシュ,タイ | 5 | NA | 群馬県 |
21 | フィリピン | 5 | D3 | 沖縄県 |
22 | フィリピン | 5 | D1 | 東京都 |
23 | シンガポール | 6 | D1 | 埼玉県 |
24 | モルディブ | 7 | D1 | 兵庫県 |
25 | モルディブ | 7 | D1 | 兵庫県 |
26 | ベトナム | 7 | D2 | 北海道 |
27 | バングラデシュ | 7 | NA | 静岡県 |
28 | バングラデシュ | 7 | D2 | 岩手県 |
29 | マレーシア | 8 | D2 | 東京都 |
30 | フィリピン | 8 | D2 | 香川県 |
31 | カンボジア | 8 | NA | 山梨県 |
32 | フィリピン | 8 | D3 | 静岡県 |
33 | フィリピン | 8 | D1 | 岡山県 |
34 | フィリピン | 8 | D1 | 神奈川県 |
35 | バングラデシュ | 9 | NA | 東京都 |
36 | インドネシア | 9 | D2 | 東京都 |
37 | ブラジル | 9 | NA | 東京都 |
38 | インド | 9 | NA | 京都府 |
39 | バングラデシュ | 9 | D3 | 東京都 |
40 | インド | 9 | D1 | 神奈川県 |
41 | インド | 9 | D1 | 神奈川県 |
42 | カンボジア | 9 | D1 | 群馬県 |
43 | パキスタン | 9 | D3 | 東京都 |
44 | フィリピン | 9 | D1 | 神奈川県 |
45 | フィリピン | 10 | D1 | 山口県 |
46 | インド | 10 | D1 | 東京都 |
47 | インド | 10 | NA | 徳島県 |
48 | フィリピン | 10 | D1 | 東京都 |
49 | フィリピン | 11 | D1 | 東京都 |
50 | フィリピン | 11 | D1 | 東京都 |
51 | タイ | 11 | D1 | 東京都 |
52 | インドネシア(バリ島) | 11 | D2 | 東京都 |
53 | インドネシア(バリ島) | 12 | D2 | 神奈川県 |
54 | フィリピン | 12 | NA | 鹿児島県 |
55 | インド | 12 | NA | 静岡県 |
月は検体を受け付けた月です。 2011年12月31日現在 |
NA:Not Applicable
ウエストナイルウイルスは、フラビウイルス科フラビウイルス属に属する。日本脳炎ウイルスやセントルイス脳炎ウイルスに近い。鳥類(野生と飼育の両方)に感染するが時に哺乳類にも感染し、ウマ科では時に脳炎をおこす。ヒトでも発病する。鳥がウエストナイルウイルスに感染して発病したり、死んだという報告は過去には少なかった。
潜伏期間;3-15日
(WNVの混入した血液を輸血された患者が、輸血の2日後に発病した症例が CDCから報告されている)
臨床症状:多くは不顕性感染におわるが発症した場合以下のような病態となる。
通常型は急激な熱性疾患として発症し、頭痛、背部痛、めまい、発汗、時に猩紅熱様発疹(約半数の症例で認められる)、リンパ節腫大、口峡炎を合併する。患者は第3ー7病日に解熱し、短期間に回復する。発熱はニ峰性を示すこともある。
脳炎型は重篤で高齢者によくみられる。中央アフリカでは劇症肝炎を併発した症例が報告されている、また心筋炎や膵炎を併発した例もある。
臨床検査所見は、白血球減少、脳炎患者の髄液では細胞増加とタンパク上昇が認められる。
治療法は、対症療法である。ウイルスは発症初期の血液から分離されることが多い。
実験室内診断:
患者の急性期の血清からウイルスを分離するか、RT-PCR法によりウイルス遺伝子(RNA)を検出する。確定診断のためには、血清診断よりも信頼性が高い。
IgG抗体は日本脳炎ウイルス等他のフラビウイルスに対して交叉反応を示すので注意を要する。IgM捕捉ELISA法により特異的IgM抗体を検出することにより診断できる。ただし、日本脳炎と西ナイルウイルスは極めて近い抗原性(図2参照)を示すため、症例によっては中和抗体価で判定する必要が生じる場合が予想される。しかし、中和抗体による場合診断にやや時間がかかる。
図1.ウエストナイルウイルスの分布地域 (日本脳炎ウイルスの分布地域との比較)
ウエストナイルウイルスの分布地域(赤)、日本脳炎ウイルスの分布地域(水色)
インド西部は、両方が分布する地域である。
オーストラリア(オレンジ色)のクンジンウイルスは、遺伝子解析上は、ウエストナイルウイルスと考えられる。メキシコは、2002年に感染馬が確認された。
図2.ウイルス系統樹
JE:日本脳炎ウイルス・ WN:ウエストナイルウイルス・ SLE:セントルイス脳炎ウイルス |
Vero細胞に感染し増殖したウエストナイルウイルス (原図:国立感染症研究所) |
主としてCulex(イエカ)の吸血によって感染し、アフリカ(ウガンダ、コンゴ、中央アフリカ、マダガスカル、ケニア、エジプト)、地中海沿岸(フランスのカマルグ地方)、インド西部のきわめて広い地域に分布している。Culex(イエカ)のなかでもアフリカや中東においてはCulex univittatusとCulex pipiens molestusが、アジアにおいては、コガタアカイエカ、アカイエカなどが主要な媒介蚊であるが、ヤブカ属も媒介可能である。
感染環:ウエストナイルウイルスは蚊-トリのサイクルで維持されている。トリ以外の中間宿主としてはコウモリも考えられている。ダニにも感染するがダニが媒介するという確証はない。
発生時期:温帯地域では、西ナイル熱・脳炎が発生するのは夏の後半から初秋にかけてである。
遺伝子的に極めて類似したKunjinウイルスはオーストラリアに分布しており、ときにヒトで脳炎をおこす。West Nileウイルスと同じく、馬では致死的な脳炎をおこす。
近年の流行:今回のニューヨークにおける流行以前にも、1994年アルジェリア、1996年ルーマニアにおいて流行した。