旋尾線虫症とは

(IDWR 2001年第14号)  ヒト以外の動物を固有宿主とする寄生虫の幼虫がヒトに侵入した場合、成虫には発育できずに幼虫のまま体内を移動し、さまざまな症状を引き起こす症 候群を幼虫移行症と呼んでいる。わが国では生鮮魚介類について、加熱をしない調理法(刺身、すし、酢づけなど)により喫食することが一般に普及しているた めに、魚介類に由来する幼虫移行症の発生が多い。さきに述べたアニサキス症(2001年第5号掲載「感染症の話」)はその代表的なもののひとつである。ここでは、10 年程前から一般に出回っている「ホタルイカ」(写真1)の生食によって感染する事が明らかとなった旋尾線虫の幼虫移行症について述べる。この旋尾線虫幼虫移行症は、腸閉塞を含む急性腹症や皮膚に線状の爬行疹を引き起こすことで食品衛生上の新しい問題となっている。

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