国立感染症研究所

平成31年2月7日
国立感染症研究所
(最終更新 令和5年9月20日)

蚊媒介感染症の診療ガイドライン(第5版) 改訂のポイント

本ガイドラインは、蚊媒介感染症に関する特定感染症予防指針(平成27年厚生労働省告示第二百六十号)に基づき、医師がデング熱、チクングニア熱及びジカウイルス感染症などの蚊媒介感染症を診断し、確定した症例について直ちに届出を行うことができるよう、疫学、病態、診断から届出、治療、予防に至る一連の手順などを示したものである。

本ガイドライン第5版の改訂のポイントは、近年国内外で進められているジカウイルスの新たな診断法開発の成果をもとに記載を更新し、国内発生時の対応を含め、診療対応の考え方、手順の整理を行った点である。特に国内ではジカウイルスの遺伝子検出法としてLoop-Mediated Isothermal Amplification (LAMP)法を応用した蛍光RT-LAMP法による検査試薬が開発され、平成30年6月18日に製造販売承認された。本試薬を用いることにより全血、血清、尿からジカウイルス遺伝子を迅速かつ特異的に検出することが可能である。ヒトが蚊の吸血によりジカウイルスに感染すると発症前から発症時にかけて高いウイルス血症を呈することが報告されており、発症時の簡便で迅速なウイルス遺伝子検査の導入は防疫体制の強化に寄与することが期待される。

蚊媒介感染症の診療ガイドライン(第5.1版)PDF版のダウンロード(2023年9月20日掲載)

abroad b ico2017年3月31日更新
国立感染症研究所albopictus06

概要

  • 2007年のミクロネシア連邦ヤップ島での流行以降、2017年3月31日時点で、ジカウイルス病は、中南米やカリブ海領域では一部の地域を除いて減少傾向にあるが、一方で、南太平洋地域、アジアや北米への地理的拡大も見せている。日本でも16例のジカウイルス病の症例が確認されており、いずれも流行地への渡航歴がある輸入症例である。
  • 流行地における研究のレビューにより、妊婦のジカウイルス感染が母子感染による小頭症等の先天異常の原因になると結論付けられた。また、疫学研究によりジカウイルス感染とギラン・バレー症候群との関連も明らかにされた。
  • 日本では、ジカウイルス感染症は、感染症法上の4類感染症と検疫感染症に追加されている。また、「蚊媒介感染症の診療ガイドライン」(第4版)が公表され、診療体制の整備が進められている。
  • WHOは、2016年9月6日にジカウイルスの性行為感染の予防に関するガイダンスを改定し、

    1. 流行地から帰国した男女は、感染の有無に関わらず、最低6か月間は性行為の際にコンドームを使用するか性行為を控えること
    2. 流行地から帰国した妊娠を計画しているカップル或いは、女性は、最低6か月間は妊娠の計画を延期すること

      を推奨した。

  • WHOは、2016年11月18日、国際保健規則緊急委員会の第5回会合を開催し、同委員会の勧告を踏まえ、ジカウイルス感染症とその合併症は、もはや「国際的に懸念される公衆の保健上の緊急事態(Public Health Emergency of International Concern: PHEIC)に該当しない旨を発表した。

abroad b ico2016年12月14日更新
国立感染症研究所albopictus06

概要

  • albopictus062007年のミクロネシア連邦ヤップ島での流行以降、2016年12月8日時点で、ジカウイルス病は、中南米やカリブ海領域では一部の地域を除いて減少傾向にあるが、一方で、南太平洋地域、アジアや北米への地理的拡大も見せている。日本でも15例のジカウイルス病の症例が確認されており、いずれも流行地への渡航歴がある輸入症例である。
  • 流行地における研究のレビューにより、妊婦のジカウイルス感染が母子感染による小頭症等の先天異常の原因になると結論付けられた。また、疫学研究によりジカウイルス感染とギラン・バレー症候群との関連も明らかにされた。
  • 日本では、ジカウイルス感染症は、感染症法上の4類感染症と検疫感染症に追加されている。また、「蚊媒介感染症の診療ガイドライン」(第4版)が公表され、診療体制の整備が進められている。
  • WHOは、2016年9月6日にジカウイルスの性行為感染の予防に関するガイダンスを改定し、

    1. 流行地から帰国した男女は、感染の有無に関わらず、最低6か月間は性行為の際にコンドームを使用するか性行為を控えること
    2. 流行地から帰国した妊娠を計画しているカップル或いは、女性は、最低6か月間は妊娠の計画を延期すること

      を推奨した。

  • WHOは、2016年11月18日、国際保健規則緊急委員会の第5回会合を開催し、同委員会の勧告を踏まえ、ジカウイルス感染症とその合併症は、もはや「国際的に懸念される公衆の保健上の緊急事態(Public Health Emergency of International Concern: PHEIC)に該当しない旨を発表した。

abroad b ico2016年9月26日更新
国立感染症研究所albopictus06

概要

  • albopictus062007年のミクロネシア連邦ヤップ島での流行以降、2016年9月16日時点で、ジカウイルス病は、中南米やカリブ海領域では一部の地域を除いて減少傾向にあるが、一方で、南太平洋地域、アジアや北米への地理的拡大も見せている。日本でも11例のジカウイルス病の症例が確認されており、いずれも流行地への渡航歴がある輸入症例である。
  • 流行地における研究のレビューにより、妊婦のジカウイルス感染が母子感染による小頭症等の先天異常の原因になると結論付けられた。また、疫学研究によりジカウイルス感染とギラン・バレー症候群との関連も明らかにされた。
  • 日本では、ジカウイルス感染症は、感染症法上の4類感染症と検疫感染症に追加されている。また、「蚊媒介感染症の診療ガイドライン」(第3版)が公表され、診療体制の整備が進められている。
  • WHOは、2016年9月6日にジカウイルスの性行為感染の予防に関するガイダンスを改定し、

    1. 流行地から帰国した男女は、感染の有無に関わらず、最低6か月間は性行為の際にコンドームを使用するか性行為を控えること
    2. 流行地から帰国した妊娠を計画しているカップル或いは、女性は、最低6か月間は妊娠の計画を延期すること

      を推奨した。

○ 国内におけるジカウイルス感染症の診療体制と医師を対象としたQ&A

最終更新:平成29年3月24日 

 

「ジカウイルス感染症診療Q&A」は、国内のジカウイルス感染症の診療に携わる医師を支援する目的で作成された。

 2016年7月25日時点でジカウイルス感染症協力医療機関として、ご協力いただける施設(109施設)は以下のURL(http://www.kansensho.or.jp/mosquito/zika_list.html)のとおり。

 今後、医療機関において「ジカウイルス感染症を疑う妊婦」が発生した場合に、妊婦に対して問診や診察などを行い、必要に応じて妊婦の経過観察を行っていただく医療機関として、ご協力いただける施設(12施設)は以下のとおり。

【産婦人科】
東京大学医学部附属病院女性診療科・産科
富山大学附属病院産婦人科
浜松医科大学医学部附属病院産婦人科
神戸大学医学部附属病院産科婦人科
宮崎大学医学部附属病院産婦人科     
長崎大学病院産婦人科
三重大学病院産科婦人科
日本大学医学部附属板橋病院産婦人科
【小児科】
東京大学医学部附属病院小児科
長崎大学病院小児科 
藤田保健衛生大学小児科
神戸大学附属病院小児科

 

ジカウイルス感染症診療Q&A  PDF版のダウンロード

2017/03/13 ジカウイルス感染症診療Q&A (2017年3月13日版) (2017/3/30一部修正)
2016/08/22 ジカウイルス感染症診療Q&A (2016年8月22日版)

 

ジカウイルス感染症の診療体制について PDF版のダウンロード

2017/03/24 ジカウイルス感染症の診療体制について

abroad b ico2016年8月10日更新
国立感染症研究所albopictus06

概要

  • albopictus062007 年のミクロネシア連邦ヤップ島での流行以降、2016年6月9日時点で、ジカウイルス病は、中南米やカリブ海領域で流行が持続し、アジアや南太平洋地域へ の地理的拡大も見せている。日本でも10例のジカウイルス病の症例が確認されており、いずれも流行地への渡航歴がある輸入症例である。
  • 流行地における研究のレビューにより、妊婦のジカウイルス感染が母子感染による小頭症等の先天異常の原因になると結論付けられた。また、疫学研究によりジカウイルス感染とギラン・バレー症候群との関連も明らかにされた。
  • 日本では、ジカウイルス感染症は、感染症法上の4類感染症と検疫感染症に追加されている。また、「蚊媒介感染症の診療ガイドライン」(第3版)が公表され、診療体制の整備が進められている。
  • 妊婦及び妊娠の可能性がある人の流行地への渡航は控えるとともに、流行地への渡航者に対しては、ジカウイルス感染症の情報提供及び防蚊対策の徹底を、より一層周知することが重要である。
    性行為感染及び母子感染のリスクを考慮し、
    1. 流行地に滞在中は、症状の有無に関わらず、性行為の際にコンドームを使用するか性行為を控えること
    2. 流行地から入国(帰国を含む)した男女は、ジカウイルス病の発症の有無に関わらず、最低8週間(パートナーが妊婦の場合は妊娠期間中)は性行為を行う場合にはコンドームを使用するか性行為を控えること

      が推奨される。

  • 米 国本土(フロリダ州マイアミ・デイド郡及びブロワード郡)で、初めて蚊媒介経路が疑われる症例が報告された。米国CDCは、マイアミ・デイド郡の一部の地区の住人と旅行者に対して予防措置に関する勧告を発表した。現在、米国CDCとフロリダ保健局による疫学調査が進められている。

平成28年7月14日
国立感染症研究所

ジカウイルス感染症のリスクアセスメント 第7版 2016年3月11日に蚊媒介感染症の診療ガイドライン(第2版)の発刊後、ジカウイルス感染症に関する知見が多数集積されている。このため、本診療ガイドライン(第3版)は、ジカウイルス感染症に関する知見のアップデートと診断基準の改訂を主たる目的として作成された。

主な改訂ポイントは、以下のとおりである。

  1. ジカウイルス感染症に関する新たな知見として、ジカウイルス病の臨床像のほか、ジカウイルスと小頭症等の先天異常との因果関係等に関する情報が追加された。

  2. ジカウイルス病の診断基準、ジカウイルス感染症の検査対象となりうる妊婦の要件に、性行為歴が新たに追加された。

  3. ジカウイルス感染症の検査対象となる妊婦については、ジカウイルス感染症協力医療機関などの専門医療機関に紹介し、母子感染症を専門とし、適切なマネジメントが可能な医療機関における評価を経て、必要なジカウイルス検査を国立感染症研究所で実施することとした。

  4. デング熱診断のための検査キットとして、新たに「デングウイルス抗原及び抗体 同時測定定性〈デングウイルスIgM抗体・NS1抗原〉」(イムノクロマト法)が保険収載された。

蚊媒介感染症の診療ガイドライン(第3版)PDF版のダウンロード

改訂履歴

  • 平成27年9月7日 地方衛生研究所は抗体検査を実施しないことに伴う変更

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平成28年12月14日
国立感染症研究所

ジカウイルス感染症のリスクアセスメント 第7版

2016年7月14日に(第3版)の発刊後、ジカウイルス感染症に関する知見が集積されている。2016年9月6日のWHOの性行為による感染予防に関する暫定ガイダンスと現時点でのエビデンスを考慮し、本診療ガイドライン(第4版)を改訂した。

主な改訂ポイントは以下のとおりである。

l  流行地から帰国した男女は、感染の有無に関わらず、最低6か月間は性行為の際に適切にコンドームを使用するか性行為を控えること

l  流行地から帰国した妊娠を計画しているカップル或いは、女性は、最低6か月間は妊娠の計画を延期すること

l  p26の「ジカウイルス感染症の検査の対象となる妊婦」について

l  p30の新生児の評価について

さらに、WHOが2016年11月18日の第5回緊急委員会において、ジカウイルス感染症とその合併症はもはや「国際的に懸念される公衆の保健上の緊急事態(PHEIC)」には該当しないとしたことについても記述した。

蚊媒介感染症の診療ガイドライン(第4版)PDF版のダウンロード

 

2016/12/20  上記PDFについて、以下の3点を修正しました。

(1) p.4 

          ×ヒトスジシマカは2015年時点で、~ 

        ⇒ヒトスジシマカは2016年時点で、~

(2) p.33

          ×2016年10月現在、~不安定となっている可能性場合があるので注意を要する。

       ⇒2016年10月現在、~不安定となっている場合があるので注意を要する。

(3) p.41 「デング熱発生届出」

 ×血清での非構造蛋白(NS1)の検出

⇒○血液(血清又は全血)での非構造蛋白(NS1)の検出

ジカウイルス感染症関連情報 ポータルサイトkumamoto eq

 

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