(IDWR 2001年第12号掲載) 

 Vibrio cholerae には200 以上のO抗原が知られており、ヒトに症状をおこすO1型以外をnonagglutinable vibrios(ナグビブリオ、以下NAG)とよんでいる。NAG の一部はコレラ毒素(CT)を産生するものがあるが大部分は非産生であり、下痢症としても散発的発生がほとんどで、大きな流行はおこさないとされていた。 ところが1992年にインド、バングラデシュで脱水症状をおこし、数十人の死者を出したコレラ様下痢症の大きな流行があり、患者からNAGが分離された が、この菌は今までに分離されていない新血清型のO139であることがわかった。その後の調査でこの菌はCTを産生すること、他の遺伝学的特徴、流行の拡 大の速さ、成人にも典型的なコレラ症状を発現させていたことなどから、第二のコレラ菌として扱われ、最初に分離された地名を付してBengal(ベンガ ル)型コレラ菌ともいわれることになった。

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