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海外における日本脳炎の流行状況とその対策

(IASR Vol. 38 p.166-168: 2017年8月号)

日本脳炎は東アジアから東南アジア, 南アジアにかけての温帯地域, 熱帯地域に広く流行している重篤な急性脳炎である。近年, これまでにその存在が知られていなかったパプアニューギニア, オーストラリア, 中国のチベット自治区でも日本脳炎の流行域が拡大し, その動向が注目されている1)。また2016年にはアンゴラで日本脳炎ウイルスと黄熱ウイルスの共感染が報告されている2)。日本, 台湾, 韓国, タイなどでは早期に日本脳炎ワクチンが導入され, その流行が制御されているが, フィリピンのように日本脳炎の流行地域であっても, 日本脳炎ワクチンが導入されていない地域もある。したがって世界保健機関(WHO)ではワクチンによって制御できる疾患である日本脳炎の対策に取り組んでおり, 日本脳炎のサーベイランスシステムの構築, 日本脳炎ワクチンの導入に対する技術支援が実施されている。

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