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わが国のブタにおける日本脳炎に対するHI抗体保有状況(2016年感染症流行予測調査より)

(IASR Vol. 38 p.161-162: 2017年8月号)

はじめに

ブタは日本脳炎ウイルス(JEV)の主要な増幅動物で, JEVに対する感受性が高く, viremiaの期間が4~5日程度1,2)と比較的長い。ブタの体内で増殖したウイルスは, 蚊(主にコガタアカイエカ)の吸血行動によりヒトや他の動物へ感染する。いわゆる肉用の肥育ブタは, 経済的観点から6~10カ月程度の飼育期間で出荷されるため生涯で2回の夏季を経験することはない。そのため, 毎年日本脳炎ウイルスに対してnaiveなブタが環境に供給され, 毎年JEVの増幅動物として機能すると考えられている。ブタにおけるJEVに対する抗体の保有状況を調査することは, 採血時点の2カ月~数カ月の感染状況を示し, 感染予防の注意を促すためにも非常に重要である。本稿では2016年度感染症流行予測調査において実施された日本脳炎感染源調査の結果(暫定結果)について報告する。

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