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パリビズマブ投与の臨床的意義

(IASR Vol. 39 p219-220: 2018年12月号)

I.パリビズマブ

パリビズマブはRSウイルス(RSV)のエンベロープ蛋白であるF蛋白のグループA, B株共通のエピトープに結合する単クローン抗体である。ヒト化はマウス抗体の相補性決定部位(complementarity determining region: CDR)を遺伝子組み換え技術により, ヒトのIgG1に移植することでなされた。分子量は約148,000で, アミノ酸213個の軽鎖2分子と, 450個の重鎖2分子からなる。この抗体はグループA, B株に対し, in vitroおよびin vivo(コットンラット)の系で同等の強い中和活性を示す1)。RSVの細胞への感染は, もう一つのエンべロープ蛋白であるG蛋白が細胞膜上の受容体(未同定)に接着した後, F蛋白に構造変化が起こり, それによりウイルスの被膜が宿主の細胞膜に融合することから始まる。パリビズマブはF蛋白に結合することで構造変化を阻害し, 宿主細胞との融合, および細胞内への侵入を阻止する。

Copyright 1998 National Institute of Infectious Diseases, Japan