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RSウイルスの分子疫学

(IASR Vol. 39 p213-215: 2018年12月号)

1.ウイルス遺伝子の特徴

RSウイルス(RSV)はニューモウイルス科に属するマイナス一本鎖のRNAウイルスである。ウイルスゲノムは約15.2kb長で一繋がりになっており, 11の蛋白(NS1, NS2, N, P, M, SH, G, F, M2-1, M2-2, L)をコードしている1)。RSVの表面にはG蛋白とF蛋白の2つの蛋白があり, G蛋白は宿主細胞への接着を, F蛋白は膜融合を起こす。11の蛋白のうち, G蛋白の変異頻度が最も高いが, それは宿主の免疫による選択圧がかかりやすいからである1)。このためRSVのウイルス進化や伝播を解析する上で, G蛋白を遺伝子解析することが多い。RSVの型別(A型, B型)もG蛋白の血清型に基づいており, さらに遺伝子型もG蛋白を用いるのが一般的である。

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