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RSウイルスワクチン開発の現状とグローバルサーベイランスについて

(IASR Vol. 39 p220-221: 2018年12月号)

背 景

RSウイルス(RSV)は世界中に広く分布しており, 症状は軽症の感冒様症状から下気道感染に至るまで様々で, ほぼすべてのヒトが幼児期に感染し, 特に生後6か月齢未満で最も重症化するといわれる1)。現在, 認可されたRSVワクチンはない。過去にホルマリン不活化ワクチンによる臨床試験が行われたが, 対照群よりワクチン接種群の方で症状が悪化し, 2名が死亡する結果となった2,3)。RSV感染症に対する医薬品としては, ヒト化モノクローナル抗体のPalivizumab(商品名シナジス)が予防的投与に用いられているのみであり, 効果的なワクチンの登場が待望されている。

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