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北海道のエキノコックス症流行の歴史と行政の対策

(IASR Vol. 40 p43-45: 2019年3月号)

はじめに

北海道のエキノコックス症は, 本来キツネとノネズミの寄生虫である多包条虫 (幼虫名は多包虫) の幼虫がヒトに寄生することで発症する寄生虫症(多包虫症)である。ヒトに感染した場合, 寄生虫が体内で無制限に増殖することと, 完全な治療に有効な薬剤がないため, 外科的切除による治療が推奨される。しかしながら, 寄生部位によっては切除が困難なこともあり, 治療せずに放置すると死亡のリスクが高い寄生虫症である。北海道では本症の住民の健康に対する脅威を鑑み, 行政が大学や医療機関と協力しながら, エキノコックス症対策を積極的に推進し現在に至っている。

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