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新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行状況の把握・評価の一助としての主要駅・繁華街等の人流および一般市民の不安やリスク行動のモニタリング

(IASR Vol. 43 p285-286: 2022年12月号)
 

 感染症サーベイランスにおいては, 従来から, 感染症法に基づく医師の届出対象となる感染症に関して, 感染者の報告が求められてきた。2022年11月現在, 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)も同様に届出対象であり, これにより収集された情報を基に流行状況の把握・評価が行われ, 国立感染症研究所(感染研)のウェブサイトやアドバイザリーボード(ADB)資料等で還元されてきた1,2)。これらの感染者数や死亡者数などの法に基づく直接的な指標と並行して, 昨今では, デジタル化の恩恵により, 電子的に集められた様々なデータを利用して流行状況の把握・評価の一助とすることが可能となっている。特に, COVID-19は, 呼吸器感染症であるがゆえに他人との接触の機会が曝露リスクを高め, 感染の不安により行動変容(感染対策の実施やハイリスク行動の回避)が起こり得ることから, 流行が人々の不安やリスク行動に大きく影響を受けることが示唆されている。これらに対する取り組みの1つとして, 国のサーベイランスを担う感染研感染症疫学センターにおいて, 一般市民の不安やリスク行動に関するアンケート調査結果を経時的にモニタリングして活用してきた。本稿では, この概要や解釈時の注意点等を報告する。

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