IASR-logo

動物モデルによる新型コロナウイルス変異株の病原性評価

(IASR Vol. 43 p278-279: 2022年12月号)
 
はじめに

 2022年11月現在, 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の懸念される変異株(VOC)はオミクロンである。最初のオミクロンBA.1系統は, 武漢株と比較して, スパイク領域で30アミノ酸置換, 3欠失, 1挿入部位があり, このうち受容体結合領域に15の変異を有するが, これは感染やワクチン接種によって誘導される中和抗体の主要な標的部位であったため, ワクチンの有効性の低下や再感染が懸念された1)。2020年9月に英国で最初に検出されたアルファの出現以来, VOCについて様々な手法でその病原性, 感染性, 免疫逃避の評価が試みられており, 前臨床疾患モデルの1つである動物モデルはVOCの病原性, ワクチンの防御能, また感染曝露後の治療薬の効果を調べるために重要な役割を果たしている2)

Copyright 1998 National Institute of Infectious Diseases, Japan