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公衆衛生対策を促進する病原体ゲノムサーベイランス体制の整備

(IASR Vol. 43 p275-276: 2022年12月号)
 

 従来, 感染症アウトブレイクにかかわる行政対応のため, 病原体ゲノム情報がリアルタイムに利活用された実例は限定的で, 後に研究レベルで実態解明が報告されることが多い。新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)発生以前においては, “全国レベルでリアルタイムに”ゲノム情報が公衆衛生対策に利活用される仕組みはなかった。SARS-CoV-2発生と国内流入をきっかけに, 従前から準備してきた結核アウトブレイク対応(クラスター対策)のためのゲノム追跡システム1)を活用して, 第1波の様々なSARS-CoV-2感染クラスターの感染リンクを推定し, 実証例を報告してその実用性を関係各所に提案した(第1波2020年3月~, ダイヤモンドプリンセス号2), ナイル川クルーズ3), 国内4))。

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