性器ヘルペスウイルス感染症とは

(IDWR 2002年第51号)   性器ヘルペスウイルス感染症(genital herpes simplex virus infection 、以下性器ヘルペス)は、単純 ヘルペスウイルス(HSV)の感染によって性器やその周辺に水疱や潰瘍等の病変が形成される疾 患である。感染症法下では4類感染症定点把握疾患に分類されている。感染はHSV に感染してい る相手との性交によって起こり、相手の性器に明らかな病変がある場合のみならず、無症状でも性器の粘膜や分泌液中にウイルスが存在する場合には感染する。 また相手の唾液中にHSV が排出 されている場合には、口唇性交によっても感染する。抗ヘルペスウイルス剤を服用すれば病変はいったんは治癒するが、HSV は一度感染すると神経節に潜伏し、時に再活性化し、患者はその後長 年にわたって再発を経験する。

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国立感染症研究所 感染症疫学センター
2020年1月現在
(掲載日:2020年6月2日)

性器ヘルペスウイルス感染症は、単純ヘルペスウイルスの感染によって性器やその周辺に水疱や潰瘍等の病変が形成される疾患である。感染症発生動向調査では、地方自治体が定めた国内約1000の性感染症定点医療機関が報告しており、定点医療機関数は2000年以降微増している(2000年887、2018年984)。性感染症定点医療機関では、「症状や所見から性器ヘルペスウイルス感染症が疑われ、かつ、届出のために必要な臨床症状により、性器ヘルペスウイルス感染症患者と診断した場合」症例を月ごとに集計し、性器ヘルペスウイルス感染症として報告している。届出のために必要な臨床症状としては「男女ともに、性器や臀部にヘルペス特有な有痛性の1から多数の小さい水疱性又は浅い潰瘍性病変を認めるもの」となっている。

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