ポーランド共和国および大韓民国におけるネコの高病原性鳥インフルエンザウイルスA(H5N1)感染事例について
2023年9月15日
国立感染症研究所
目次
- 背景
- 事例の概要
1. ポーランドにおける事例
2. 韓国における事例
3. ウイルス学的所見
4. 欧州におけるHPAIV(H5N1)の報告状況
5. 東アジアにおけるHPAIV(H5N1)の報告状況 - 過去の哺乳類における鳥インフルエンザウイルス感染事例
1. 近年のネコ科動物の鳥インフルエンザウイルス感染事例
2. 過去の鳥インフルエンザの哺乳類からのヒト感染事例 - 日本国内における家きん肉を用いたペットフードの状況
- リスクアセスメント
- 今後の対応
背景
高病原性鳥インフルエンザウイルスA(H5N1) (Highly pathogenic avian influenza virus: 以下、HPAIV(H5N1))は1997年に初めて香港で生鳥市場を介したヒト感染例の報告があり、2003年、2004年には東アジア、東南アジアでもヒト感染例が報告された。これ以降、世界各地の家きんや野鳥に感染が拡がり流行域を拡大したH5亜型のHPAIVは、A/goose/Guandong/1/1996(H5N1)に由来するユーラシア型のHA遺伝子を保持している。HA遺伝子の塩基配列により当初は0~9のCladeに分類され、その後HA遺伝子の変異が蓄積し、Cladeごとにさらに細かな亜系統に分類されるようになった。さらに他のA型インフルエンザウイルスとの遺伝子再集合を起こすなど、遺伝的にも多様化している。
2021年以降はClade2.3.4.4bに属するHPAIV(H5N1)の世界的な感染拡大が起こり、2021年に北米で報告され、2022年には中南米へと拡大した。2022年には南極大陸及びオーストラリア大陸以外の全ての大陸の野鳥、家きんでのHPAIV(H5N1)感染事例が報告された。トリでの感染事例の地理的な拡大と報告数の増加に伴い、トリを捕食するもしくはトリの死骸を餌とする動物での感染事例が増加し、イルカ、アザラシなど海棲哺乳類を含む野生の哺乳類や毛皮農場で飼育されているミンクなどでの感染例の報告があった。
哺乳類の感染事例として、2023年6月から7月にかけて、ポーランド共和国(以下、ポーランド)及び大韓民国(以下、韓国)において、飼い猫や動物保護施設で飼育されていたネコでのHPAIV(H5N1)感染事例が報告されたことから、これら事例に関する情報の更新及びリスクアセスメントを行った。
事例の概要
1. ポーランドにおける事例
2023年6月20日にポーランド農業・農村開発省獣医検査庁(以下、獣医検査庁)は同国内で飼い猫が鳥インフルエンザに感染した疑いがあるとの報道があったことを報告した(Główny Inspektorat Weterynarii, 2023a)。ポーランド国内で広くネコの異常死が報告され、これらの検体はプワヴィの国立獣医学研究所及びワルシャワ生命科学大学獣医学部で実施された検査でHPAIV(H5N1)が検出され(Główny Inspektorat Weterynarii, 2023b)、8月29日時点でGISAIDに33件の遺伝子解析結果が登録された(GISAID, 2023a)。
国立獣医学研究所は、25匹のHPAIV(H5N1)感染したネコの疫学調査が実施されており、24匹の飼い猫のうち12匹に生の家きん肉が、2匹に「生物学的に適正な生食(Biologically Appropriate Raw Food:BARF)」が餌として与えられ、6匹が屋内のみもしくは限られた外部環境へのアクセス状況で飼育されていたと報告したが、この調査では明確な感染源は確認できなかったとして、引き続き調査が必要としている(Domańska-Blicharz K., et al。、2023)。
国際獣疫事務局(WOAH)は、ネコの感染例の一部は屋外とのアクセスがなかったことから、感染野鳥のみが感染源であった可能性は低く、またネコ感染例が広範囲で確認されていることから、ネコ-ネコ感染が主要な感染経路ではないとしている(Offlu, 2023)。また、グダニスク医科大学はヒト用に販売され症状を呈したネコを飼育する家庭に保管されていた鶏肉からHPAIV(H5N1)を検出したことを報告している(Rabalski L., et al., 2023)。
2. 韓国における事例
韓国農林畜産食品部は2023年7月25日に、ソウル市内のネコ保護施設で保護されていた2匹のネコからHPAIV(H5N1)が検出され、当局での対応を開始したと発表した(韓国農林畜産食品部、2023a)。これらのネコは呼吸器症状を呈しており、当該施設では、2023年6月以降1日当たり約1~2匹のネコの死亡が確認されていたとの報道もある(SBS Biz, 2023)。農林畜産食品部と保健福祉部疾病管理庁は当該施設のある龍山区の周囲10km以内の動物飼育施設の調査・検査、関連するヒト・施設への防疫措置と全国の動物保護施設に対する検査と、高リスクと判断された接触者に対しての10日間の症状の観察を実施した(韓国農林畜産食品部、2023a)。7月29日にはソウル市冠岳区の別の保護施設でもH5確定N型未確定の鳥インフルエンザウイルスが確認され(韓国農林畜産食品部, 2023b)、最終的に龍山区で5匹、冠岳区で4匹のネコからHPAIV(H5N1)が検出された(韓国農林畜産食品部, 2023d)。検出から21日間追加症例の発生がなく、発生施設などに対する検査でも異常が見られなかったことから、農林畜産食品部は8月21日に発生地域内の制限を解除したと発表した(韓国農林畜産食品部, 2023d)。
また、8月3日にソウル市内の保護施設で採取されたペットフードからHPAIV(H5N1)が検出され(韓国農林畜産食品部, 2023c)、これに伴い、製造元であるネイチャーズロー社は製造過程における殺菌工程が不十分だったとして、HPAIV(H5N1)が検出された「Balanced Duck」と、同系統の製品である「Balanced Chicken」の5月25日以降製造分の自主回収と、製造停止を行うと発表した(TOSIL TOSIL Restaurant, 2023)。同製品は、韓国産のアヒルもしくは鶏肉を使用した冷凍のキャットフードである。農林畜産食品部は当該商品を購入した消費者286人が飼育するネコに対して14日間の健康状態の追跡調査が実施されたが、発症したネコはいなかった(韓国農林畜産食品部, 2023d)。また、同様のアヒル肉、鶏肉を利用した生のペットフードを製造している13社の商品110件を回収、検査したが、ウイルスは検出されなかった(韓国農林畜産食品部, 2023d)。
3. ウイルス学的所見
ポーランドでネコから検出されたHPAIV(H5N1)の遺伝子解析結果が2023年8月29日時点でGISAIDに33件登録された(GISAID, 2023a)。これらはすべてClade.2.3.4.4bに属するウイルスであり、これらのウイルスはPB2タンパク質にE627K変異およびK526R変異を有していた(GISAID, 2023a、ECDC, 2023)。これらの変異は過去のClade.2.3.4.4bに属するHPAIV(H5N1)においてもみられる変異であり、哺乳類での病原性や増殖能力の獲得に寄与するとの報告はあるが、ヒト感染への直接的な影響については限定的あると考えられる(国立感染症研究所, 2023a)。また、これらのウイルスは、6月初旬に南東部のタルヌフでシュバシコウ(コウノトリの一種)から検出されたウイルスと近縁であり、ポーランド国内で単一の感染源に由来すると発表された(Główny Inspektorat Weterynarii, 2023c)。一方で、ポーランド国内のカモメからは、ネコから検出されたHPAIV(H5N1)と大きく異なるHPAIV(H5N1)が検出されており、獣医検査庁もこれらの起源が異なると発表している(GISAID, 2023a、Główny Inspektorat Weterynarii, 2023d)。
また、グダニスク医科大学の研究者はネコから検出されたウイルスゲノムがほぼ同一のゲノムを有しており、またヒト用に販売され症状を呈したネコを飼育する家庭に保管されていた冷凍の鶏肉5検体のうち1検体からHPAIV(H5N1)のウイルスRNAを検出し、ネコから検出されたウイルス、ポーランドの野鳥から検出されたウイルスに近縁であることを報告した(Rabalski L., et al., 2023)。
一方、韓国での感染事例において7月4日にネコから採取された2株のHPAIV(H5N1)の遺伝子配列(HA、NA、PB2、M、NS遺伝子分節のみ)が2023年8月15日にGISAIDに登録されており、ポーランドでネコから分離されたウイルスと異なり、PB2タンパク質のE627K変異、K526R変異はみられなかった一方、D701N変異を有していた(GISAID, 2023a)。D701N変異は、過去のClade.2.3.4.4bに属するHPAIV(H5N1)の一部の分離株においてもみられる変異であり、哺乳類での病原性や増殖能力の獲得に寄与するとの報告はあるが、ヒト感染への直接的な影響については限定的あると考えられる(国立感染症研究所, 2023a)。8月16日以降、8月30日時点で、韓国でその他のネコから分離されたウイルスの遺伝子配列は登録されていない。
4. 欧州におけるHPAIV(H5N1)の報告状況
ポーランドからは、2023年8月29日時点で、GISAIDに2020年以降Clade2.3.4.4bのHPAIV(H5N1)のみが登録されており、それ以外のCladeは登録されていない(GISAID, 2023b)。また、同国からHPAIV(H5N1)ヒト感染例は8月29日時点で報告されていない(CDC, 2023)。2022-2023シーズンにおいて、HPAIV(H5N1)ヒト感染例はスペインと英国から報告されているが、いずれもウイルスが家禽から検出された養鶏場の職員や殺処分作業にあたった労働者での報告である(WHO, 2022、WHO, 2023)。現在までのところ、HPAIV(H5N1)の効率的なヒト-ヒト感染は報告されていない。
欧州におけるトリでのHPAIV(H5N1)感染事例は2023年2月頃をピークに減少傾向にあるが、感染例の散発的な報告が継続している(ECDC, 2023)。
また、7月中旬以降、フィンランドの毛皮農場20施設において、キツネ、ミンクなどのHPAIV(H5N1)感染が報告されている(Lindh, E., et al., 2023)。
5. 東アジアにおけるHPAIV(H5N1)の報告状況
日本では感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(感染症法)に基づいて獣医師が届出を行う感染症として「鳥インフルエンザ(H5N1又はH7N9)」が指定されており、感染症発生動向調査週報でその結果を還元している(国立感染症研究所, 2023b)。農林水産省は2023年4月14日までに日本国内で発生していたすべてのHAPIV感染事例の防疫措置を完了し、その後新規の感染事例の発生がなかったことから、5月13日を開始日として清浄化宣言を国際獣疫事務局(WOAH/OIE)に提出した(農林水産省, 2023a、WOAH, 2023a)。また、日本国内における野鳥の鳥インフルエンザの発生は4月19日が最後の報告となっている(環境省, 2023a)。韓国においては、6月8日を開始日として清浄化宣言をWOAHに提出した(WOAH, 2023a)。両国において、ヒトでのHPAIV(H5N1)の感染は報告されていない。
中国では2023年1月に江蘇省で1例のヒト感染例が報告されているほか、7月にチベット自治区で野鳥での感染事例が報告されているが、2023年には家きんでのHPAIV(H5N1)感染事例の報告はない(FAO, 2023)。中国から報告されたヒト感染例は家きんとの接触があり、この感染例の接触者からの発症はなく、ヒト-ヒト感染は報告されなかった(WHO WPRO, 2023)。また、台湾では7月以降も家きんでのHPAIV(H5N1)感染事例が複数件報告されている(FAO, 2023)。
過去の哺乳類における鳥インフルエンザウイルス感染事例
1. 近年のネコ科動物の鳥インフルエンザウイルス感染事例
ネコ科の動物はA型インフルエンザウイルスに感受性があり、主に感染野鳥の死骸を捕食することによって感染することが知られている。通常、ネコが鳥インフルエンザに感染した場合は軽度の上気道症状を起こすが、HPAIV(H5N1)に感染した場合には高熱、意識障害、結膜炎、呼吸困難等を起こし、死に至る例が報告されている(Frymus T., et al., 2021、Thanawongnuwech R., et al., 2005)。
2022年10月から2023年にかけて、ネコの感染事例がカナダとフランスから1件ずつ、米国から4件報告されている。また、ピューマの感染事例が米国から16件、トラの感染事例が米国から1件、ボブキャットの感染事例が米国から6件、ライオンの感染事例がペルーから1件報告されている(WOAH, 2023b)。米国の一部の感染事例は動物園での集団感染が疑われているが、その他の事例において感染源について明確な情報はない。また、それ以前にはイスラエルからネコの感染事例が、中国、タイから動物園におけるトラ、ウンピョウの感染事例が報告されており、タイの動物園におけるトラの感染事例では、HPAIV(H5N1)に感染した鳥を食べたことにより感染したと考えられているが、トラ-トラ感染の可能性も示唆されている(Thanawongnuwech R., et al., 2005)。
また、オランダにおけるネコの鳥インフルエンザウイルス(H5N8、H7N9及びH9N2)の抗体保有率が0.078%(95%信頼区間:0.053%~0.113%)だったと報告された(Zhao S., et al., 2020)。
2. 過去の鳥インフルエンザウイルスの哺乳類からのヒト感染事例
過去に哺乳類が感染源となったHPAIV(H5N1)ヒト感染事例は報告されていない。一方で、2016年に米国ニューヨーク市の複数の動物保護施設で数百匹のネコが鳥インフルエンザウイルス(H7N2)に感染し、この際にネコから感染したと考えられる2例のヒト感染例が報告されている(Lee C., et al., 2016)。また、1979年に米国で発生したアザラシの鳥インフルエンザウイルス(H7N7)集団感染事例では、接触者5例が結膜炎を発症し、うち1例の目の拭い液から鳥インフルエンザウイルス(H7N7)が確認されたが、呼吸器症状を呈した者は報告されていない(Webster R. G., et al., 1981)。
日本国内における家きん肉を用いたペットフードの状況
日本国内においては、2009年から愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律が施行されている。この中で、基準に合わない犬、猫用ペットフードの販売、販売のための製造又は輸入が禁止されており、原産国の表示も義務付けられている。加えて、ペットフードの使用が原因となって犬、猫の健康が害されることを防止するため、特に必要があると認めるときは、必要な限度において、農林水産大臣及び環境大臣は、製造業者、輸入業者または販売業者に対して廃棄、回収などの措置を取るように命ずることができるとしている(環境省, 2023b)。
農林水産省は、事業者向けに「ペットフードの適正製造マニュアル」や「ペットフードの衛生管理マニュアル」を発出しており、当該マニュアル中では、衛生的な原材料を使用することや製品の加熱・殺菌を重要としている(農林水産省, 2023b)。また、環境省は「飼い主のためのペットフード・ガイドライン」を発出し、この中で注意が必要な食材として生肉を挙げ、加熱調理を推奨している(環境省, 2018)。
缶詰やドライフード以外の輸入ペットフードに関しては、家畜防疫の観点から農林水産省が輸入条件(家畜衛生条件)を設定しており、高病原性鳥インフルエンザ、低病原性鳥インフルエンザの清浄地域原産であること、加熱処理がされることなどが求められている(農林水産省, 2023c)。
また、一般的な生鮮家きん肉に関しては家畜衛生条件に高病原性鳥インフルエンザ、低病原性鳥インフルエンザの発生があった場合は速やかに輸入が停止する旨規定されており、2023年8月8日現在欧州など本病発生国・地域からの生鮮家きん肉の輸入は停止措置中である(農林水産省, 2023d)。なお、高病原性鳥インフルエンザ、低病原性鳥インフルエンザ発生国については、本病ウイルスが不活化される加熱処理された家きん肉の家畜衛生条件が設定された国(韓国等)の加熱家きん肉のみ輸入が可能である(農林水産省, 2023d)。
リスクアセスメント
1. 日本国内でネコが野鳥からHPAIV(H5N1)に感染するリスク
2023年8月29日時点で、5月以降日本では野鳥における鳥インフルエンザの感染は確認されていないが、今後鳥インフルエンザが発生した場合は、日本国内においてもHPAIV(H5N1)に感染したトリを捕食する、汚染された肉を生のまま摂取することでネコがHPAIV(H5N1)に感染する可能性がある。
2. HPAIV(H5N1)が哺乳類からヒトに感染するリスク
ポーランドと韓国におけるネコから検出されたHPAIV(H5N1)の遺伝子解析結果の報告からは、過去のClade.2.3.4.4bのHPAIV(H5N1)においても報告されているPB2タンパク質の変異が確認されているが、哺乳類やヒトへの感染性に影響を与える他の変異は報告されていない。このことから、ヒトへの感染性が高くなるウイルス学的性質の獲得に関する証拠は限定的と考えられ、以前の報告同様、感染した動物への接触機会がない人々への感染リスクは低い。
ただし、ヒトの生活環境に近いところに生息するネコへの感染が国外で相次いでいること、引き続きHPAIV(H5N1)の家きん、野鳥での報告が継続している地域があることから、偶発的に感染した哺乳類に接触したヒトが感染する可能性がある。また、H7N2ではネコからヒトに感染した事例が報告されており、H5N1においても、感染したネコからヒトへの感染が起きる可能性は否定できない。
3. 日本国内でペット用を含む食肉からHPAIV(H5N1)に感染するリスク
今回のポーランド及び韓国におけるネコのHPAIV(H5N1)感染事例の原因として、流行期における野鳥との接触もしくは餌(ペットフードを含む)としていた生肉が汚染されていた可能性が示唆されている。
日本国内では家きん、野鳥における鳥インフルエンザ監視体制が構築されており、HPAIV(H5N1)感染事例の早期発見と対策が取られることから、汚染された家きん肉が流通する可能性は低い。また、輸入家きん肉においても、鳥インフルエンザ発生国からの非加熱の家きん肉の輸入は停止される。一方で、アヒルなどの水禽類は鶏と比較して症状が出現しにくく、また、鳥インフルエンザ常在国から違法に持ち込もうとして検査不合格となった家きんの肉製品から鳥インフルエンザウイルスが検出された報告もあることから(農林水産省, 2021、Shibata A., et al., 2019)、汚染された生肉が違法に国内に持ち込まれる可能性はあるが、広範囲に流通する可能性は低いと考えられる。
以上のことから、日本国内でペット用を含む食肉から感染する可能性は低く、かつ、インフルエンザウイルスは加熱することで失活するため、適切に加熱することで感染するリスクは限りなく低くなると考えられる。
今後の対応
- 引き続き海外渡航者は家禽市場や生きた鳥類、鳥類や哺乳類の死骸に不用意に近づかないように注意すべきである。国内においても、体調不良の動物、動物の死骸にはできる限り接触しないようにし、やむを得ず接触する場合はその排泄物や唾液などの飛沫に接触しないようにマスク、手袋、ガウンなどの飛沫感染対策、接触感染対策を行い、接触のあとは十分に手指衛生を行うことが推奨される。
- HPAIV(H5N1)に感染した鳥類や哺乳類、またはその排泄物等と接触した場合、その接触状況を評価し、評価に応じて健康観察や、ヒトや動物との接触を避けるなどの対策が考慮される。
- ポーランドの鶏肉、韓国の冷凍アヒル肉を用いたペットフードからHPAIV(H5N1)が検出されているように、感染事例が報告されていない農場で生産されたものであってもHPAIVが検出される可能性は排除できないものの、日本国内では家きん、野鳥における鳥インフルエンザ監視体制が構築されており、HPAIV感染事例の早期発見と対策を取ることにより、汚染された家きん肉が流通する可能性が低いことや、国内で流通しているペットフードは一般に適切に加熱されており、HPAIVが検出される可能性は低い。引き続き、動物にあたえる食餌においても、生肉を与えることは避け、加熱による十分な殺菌およびウイルスの不活化がされたものを与えることが推奨される。
- ポーランドと韓国においてネコから検出されたウイルスからは、ヒトへの感染性に影響を及ぼしうる変異は確認されていない。ただし、動物で感染が拡大する中でアミノ酸変異が蓄積して、ヒトへの感染性がより高くなったウイルスが今後出現する可能性は否定できないことから、引き続き動物での発生動向を監視する必要がある。
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