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急性脳炎として感染症発生動向調査に届出されたロタウイルス脳症の疫学

(IASR Vol. 40 p210-212:2019年12月号)

背 景

感染症に伴う急性脳炎は病原体が頭蓋内で直接炎症をおこしているもの, 急性脳症は感染を契機とした生体反応による中枢神経の機能障害と区別されることが多い1)。小児においてロタウイルス感染症とけいれんとの関連は従来より指摘されており, 意識障害が持続する症例でロタウイルス脳症と診断される症例もあるが, 発生機序については明らかになっていない2,3)。意識障害の持続はロタウイルス感染症の神経系合併症の一つであり, 2020年10月からの定期接種化が予定されているロタウイルスワクチンによる効果を評価する上でもこれらの症例の疫学を把握する事は重要と考えられる。本稿では, 急性脳炎として感染症発生動向調査に届出されたロタウイルス脳症症例の疫学についてまとめた。

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