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大阪府におけるロタウイルス検出状況

(IASR Vol. 40 p208-209:2019年12月号)

ロタウイルスによる胃腸炎の流行状況は5類感染症として全国では約500の基幹定点病院にてロタウイルスと診断された感染性胃腸炎(ロタウイルス胃腸炎)の患者報告数によって推察することができる。基幹病院における対象患者は入院例が多くを占めると考えられるが, 病院によっては外来患者を含めてカウントされている場合がある。大阪府において報告される小児科定点医療機関(小児科定点数197:2019年第44週現在)から報告される感染性胃腸炎患者報告数と, 基幹病院(基幹病院定点数17:2019年10月17日現在)からのロタウイルス胃腸炎患者報告数について2017年第1週~2019年第44週までを抽出した(図1)。その結果, 基幹病院において報告されたロタウイルス胃腸炎患者報告数は2017年237人, 2018年239人, 2019年(第44週まで)376人であり, 2019年には増加していたことが分かった。年齢構成は1歳をピークとして年齢とともに減少していく傾向があり, 2019年は相対的にすべての年齢区分で増加していた。そこで2015~2019年度(9月まで)の5年間について, 感染症発生動向調査に基づき検査された感染性胃腸炎の患者から検出されたロタウイルスについて遺伝的解析を実施した(大阪市, 堺市除く)。VP7に基づく遺伝子型別(G typing)において主要な遺伝子型が毎年入れ替わっていることが分かる(図2)。2019年は過去5年間で検出数が最も多く, G9が28件(80%)検出され, 本年の主要な遺伝子型となっていた。2019年には入院症例が10件含まれており, そのうち6件からG9, 2件からG8が検出された。2017年に初めて検出されたG8も2019年は7件と増加していた。

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