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HHV-6B感染症に対するワクチン開発

(IASR Vol.41 p216-218: 2020年12月号)

はじめに

 ヒトヘルペスウイルス6B (HHV-6B)は, 日本ではほぼすべての人が生後半年~2歳頃までの乳幼児期に初感染するウイルスであり, その後も生涯にわたって体内に潜伏感染し続ける性質を持つ。HHV-6Bの初感染は発熱を伴う突発性発疹を引き起こすことが知られている。また日本での小児急性脳炎・脳症のうち, 年間100例ほどはHHV-6Bが原因であるとされている1)。HHV-6Bによる脳炎・脳症の発症メカニズムはいまだ不明であるため, いつ, どの乳幼児がその危険に晒されるかは予測不可能であり, その極めて高い感染率から日本ではすべての乳幼児が潜在的なリスク下にあると言える。したがってHHV-6B感染症に対するワクチンの開発は急務であって, 出生後, 早期のワクチン接種によって, HHV-6B感染症を予防することが望ましいと考える。

Copyright 1998 National Institute of Infectious Diseases, Japan