感染症発生動向調査における梅毒届出数は, 2011年より増加が続いていたが, 2021年以降はより顕著に増加している(図1)1)。2022年の年間暫定届出数は13,258例となり, 1999年の感染症法施行以降初めて10,000例を上回った。さらに2023年も, 第1~39週(2023年1月2日~10月1日)に診断された暫定届出数は既に11,260例に達した(2023年10月4日時点)2)。これは, 前年同期間の9,312例(2022年10月5日時点)の1.2倍であり, その増加は前年をしのぐ勢いである。
感染症法で報告が求められている主な性感染症には, 陰部に潰瘍性の病変を生じる梅毒, エムポックス, 性器ヘルペスウイルス感染症, 腫瘤性の病変を生じる尖圭コンジローマ, 尿道炎や子宮頸管炎の症状を呈する性器クラミジア感染症と淋菌感染症がある。感染症法上, エムポックスは4類感染症に, 梅毒は5類感染症に分類され, すべての医師が診断を行った際に届出が必要な全数把握疾患である。一方, 性器ヘルペスウイルス感染症, 尖圭コンジローマ, 性器クラミジア感染症, 淋菌感染症は5類定点把握対象疾患で, 産婦人科, 皮膚科および泌尿器科等の性感染症を診療する医療機関のうち, 地方自治体が定めた性感染症定点医療機関から報告されている。本稿では, 特集が組まれている梅毒(本号1ページ参照)を除く上記疾患に関し, 感染症発生動向調査における2013年以降の10年間の報告を紹介する。
第二次世界大戦後, 世界的に減少していた梅毒は1990年頃から複数の国で流行がみられている1)。中低所得国では異性間性的接触による感染が中心であり, 女性の梅毒感染の増加から先天梅毒が問題となっている2)。世界保健機関(WHO)は, 梅毒, HIV感染症, B型肝炎の母子感染排除を目指す取り組みを2015年から開始し, 2023年10月時点でタイ, マレーシア, モルディブなどのアジア諸国と中南米諸国の計15カ国で梅毒の母子感染排除(出生10万人当たり50例以下)が達成された3)。しかし, いまだに世界では2020年時点で先天梅毒児が出生10万人当たり425例発生しており, さらなるコントロールを目指し, WHOは2030年までに先天梅毒を同50例以下に抑えるという目標を設定した4)。一方, 高所得国では, 梅毒はMSM(men who have sex with men)で感染が広がっていたが, 近年異性間での感染伝播も増加の一因となってきており, 先天梅毒の増加を認める国も出てきている2)。本稿では, 主に高所得国における過去10年の梅毒と先天梅毒の流行状況の変化について紹介する。
梅毒の届出数は2021年以降全国的に増加しており, 大阪府は東京都に次いでその届出数が多く, 妊娠症例数は, 2019~2021年において都道府県別上位3位以内となっている1,2)。本稿では大阪府内における梅毒の発生動向および大阪府, 大阪市(以下, 府市)で実施している対策の内容を紹介する。
2023年第49週(第49号)
(12月4日~12月10日) 発生動向総覧/感染症関連情報〔病原体情報/海外感染症情報/その他〕〔2023年12月22日発行〕
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2023.12.19 第49週(12/4~12/10)データを掲載しました。
※2015年からはCSVデータのみの更新となります。 2015年からのIDWRの変更についてはこちら から。
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■全数把握疾患、報告数、累積報告数、都道府県別 | ||
一~五類感染症の全数把握疾患についての各週の報告数、および当年第1週からの累積報告数です。 |
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■定点把握疾患(週報告)、報告数、定点当たり報告数、都道府県別 | ||
五類感染症のうち週単位で報告される定点把握疾患の報告数、および定点当たり報告数です。 | ||
■定点把握疾患(週報告)、累積報告数、定点当たり累積報告数、都道府県別 | ||
五類感染症のうち週単位で報告される定点把握疾患の、当年第1週からの累積報告数、および定点当たり報告数です。 ※累積報告数は再集計されています。 |
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■疾病毎定点当たり報告数 ~過去10年間との比較~ | ||
五類感染症のうち週単位で報告される定点把握疾患の過去10年間の定点当たり報告数です。 | ||
■定点把握疾患(週報告)、(1週から当該週まで)報告数・定点当り報告数 | ||
五類感染症のうち週単位で報告される定点把握疾患の、当年1週から当該週までの各週の報告数、および定点当たり報告数です。 ※報告数・累積報告数は再集計されています。 |
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■動物疾患、報告数、累積報告数、都道府県別 | ||
獣医師が届出を行う感染症と対象動物についての各週の報告数、および当年第1週からの累積報告数です。 ※累積報告数は再集計されています。 |
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